Zoom Video Communications(以下、Zoom)はカリフォルニア州サンノゼで開催された Zoomtopia 2024において「Zoom AI Companion 2.0」を発表した。
Zoom AI Companion 2.0はユーザーが効率よく作業できるよう支援するZoomのAI パーソナル アシスタントで、Zoomの有料アカウントユーザーは追加費用なしで利用できる。また、Zoom は組織の独自のニーズに対応するために設計された、さらなるカスタマイズおよびパーソナライズ機能を備えた「AI Companion」のカスタム アドオンも発表した。
発表の背景
2023年9月の提供開始以来、AI Companionは400万以上のアカウントで有効化され、ミーティング要約、ミーティング中の質問、チャットの作成などの機能により、ユーザーのスキル向上に役立っている。AI Companion 2.0は、不要な情報を分別して、もっとも重要なものを優先することで質の高い結果を提供し、ユーザーの日常業務を簡素化する。これらの結果は、ZoomのAIに対するフェデレーテッド アプローチによって実現されている。このアプローチにより、Zoomの技術スタックは、OpenAI、Anthropic、Metaなどの複数のAIモデルや、Perplexity.aiなどのAIサービスから動的に選択できるようになる。
「AI Companion 2.0」の概要
AI Companion 2.0は、ユーザーが1日を有効活用し、より多くのことを実現できるよう支援するAIパーソナル アシスタント。AI Companion 2.0は、Zoom Workplace全体で便利なサイドパネルとして利用でき、信頼性が高く、AIにより、重要な会話を最新の状態に保ち、情報を統合してより多くの情報に基づく意思決定を行い、アクションを起こすことができる。AI Companion 2.0の主な機能は次のとおり。
- Zoom Meetings、Zoom Team Chat、Zoom Docs、Zoom Calendar、Zoom MailなどZoom Workplace全体にわたって、サイドパネルから、AI Companionによるプロンプトの提案を利用したり、回答を生成することができる。
- Zoom Workplace全体にわたるデータに加え、連携させた場合はMicrosoft Outlook、Gmail、Google Calendar、Microsoft Office や Google Docsからアップロードされたファイルの情報も使用して、情報のコンテキストを拡張する。AI Companionは、サイドパネル内での過去の会話や、Zoom Workplace全体にわたるやり取りを記憶する。
- ミーティング要約から次のステップを生成し、AI Companionがそれらを自動的にZoom Tasksに変換することで、プロジェクトを期限内に完了できるようチームを支援する(Zoom Tasksは2024年12月に提供開始予定)。
- Zoom Team Chatチャネル内の未読メッセージを要約することで、チームの会話を容易に把握できるようにし、未読チャットが埋もれることを防ぐ。新しいホームタブ内で、AI Companionは未読のチャットとメールに基づき、ユーザーに最新情報の一覧を提供できるようになる。
- Zoom Mailでメールスレッドを要約することができるため、すべてのメッセージを読む必要がなくなる。
ミーティングでの会話環境を改善
- 関連するAI Companionの回答を引用と情報源つきで取得し、ウェブからリアルタイムで情報を検索することに加え、ミーティング要約、チャット メッセージ、ドキュメント (Microsoft WordやGoogle Docsを含む)、メールスレッド、カレンダー エントリ、ユーザーのコンピュータ上のローカル ドキュメントを指定することで、結果を改善する。
- AI Companionの新しいリアルタイム ウェブ検索機能により、拡張された情報を受けとることができる。
- ミーティングの内容以外の情報についても、AI Companionに質問することで、ミーティング中に情報を確認できる。また、頭字語の意味を調べることも可能になる。
- 質問をAI Companionにすることで、ミーティング中も集中力を維持し、議論の内容をキャッチアップすることができる。
- ミーティング終了後もサイドパネル内で、話し合われた内容について質問を続けたり、ミーティング中にAI Companionと交わした会話を振り返ることができる。
プロジェクトとコンテンツをスピーディにスタート
- ドキュメント、メール、ミーティング要約など、ユーザーが利用可能なデータやウェブから情報を取得して、AI Companionのサイドパネル内でコンテンツのドラフトを生成することで、十分な情報を盛り込んだ初稿が作成される。ユーザーは、自分の役割に応じてコンテンツをさらにカスタマイズすることもできる。
- 長文のドキュメントを要約し、要点やアクション項目を素早く理解し、テンプレートを使用してドキュメントを共有しやすい形式に変換する。
- AI Companionが要約したコンテンツを、Zoom MailやZoom Team Chatなど、Zoom Workplace全体で容易に共有することができる。
情報源を引用表示
- Zoom Workplace全体で動作し、グループ チャット メッセージや過去のミーティングの議事録といった複数の情報源からコンテキストを収集し、ミーティングに備えた推奨事項を提供する。
- 回答がどの情報源から生成されたかの詳細は、情報源の引用を参照できる。
- 透明性と制御により、管理者は簡素化された管理設定で、AI Companionを容易に有効化または無効化できるようになる。ワンクリックでAI Companionをオンでき、Zoom Workplace全体で明確なインジケータによってAI Companionの使用状況を容易に確認できる。
新たなカスタム アドオンでAI Companionをカスタマイズ
AI Companionのカスタム アドオンにより、ユーザーのZoom AI Companionをカスタマイズ/パーソナライズし、ビジネスと従業員の独自のニーズに応えることができる。AI Companionを社内およびサードパーティのアプリケーションからのビジネスデータと連携させることで、ユーザーはよりスピーディに業務を遂行し、回答を検索する時間を削減できる。パーソナライズ機能により、パーソナライズされたコーチとカスタム アバター クリップでパフォーマンスを向上させ、取り組みを拡大することができる。
AI Companionの機能を顧客のアプリケーションやデータソースに拡張
- ビジネス環境の拡大:組織が技術スタックを拡大するにつれ、ミッション クリティカルなデータはさまざまなアプリケーションに分散される。AI Companionのカスタム アドオンにより、ZoomやAtlassian(Jira & Confluence)、Glean、Workday、Zendesk、ServiceNow、Box、Asana、Hubspotといったサードパーティのアプリケーションにわたってデータへのアクセスが可能になり、より良いアクションや意思決定を推進することができる。
- 検索に費やす時間を削減:従業員は業務中に貴重な時間を情報の検索に費やしているが、AI Companionのカスタム アドオンを使用することで、組織は独自のナレッジ コレクションを追加できるようになり、よりスピーディに回答を得ることができる。
- 1日の業務全体にわたるアクションを管理:サードパーティとの連携を行うことで、AI CompanionはZoom製品内に加えServiceNow、Zendesk、Boxなどのサードパーティ ソリューション内でタスクを完了できるようになる。たとえば、ユーザーが AI Companion にミーティングの内容とアクション項目の要約を依頼することで、ServiceNow 内でワークフローがトリガーされ、タスクを自動的に作成し、チームメンバーに割り当てます。AI Companionは、Microsoft TeamsとGoogle Meetでの通話の要約も提供できるようになる。
ユーザーはZoom AI Studioを利用することで、これらの体験をカスタマイズできる。Zoom AI Studioによって、カスタム辞書、ミーティング要約のテンプレート、ナレッジ コレクションを追加し、応答の精度を向上させ、追加のデータソースに対してコンテキストを拡張することが可能になる。
- 独自の用語を認識:ユーザーは独自の用語集を追加することで、AI Companionの応答をそれぞれのビジネスや業界に合わせ、正確な文字起こしを作成することができる。
- ミーティングを思い通りに要約:ユーザーは、独自のミーティング内容に合わせて、カスタムのミーティング要約テンプレートを作成することができる。
- 追加のナレッジ コレクションで回答を取得:人事規定やサポート記事など、さまざまな企業データへのアクセス権をAI Companionに与えることで、コンテキストを拡張することができる。
- 重要なアプリケーションに機能を拡張:ユーザーはZoom AI Studioを使用してAI スキルを構築し、AI Companionのスキルを他のワークロードに拡張することができる。たとえば、連携されたサードパーティ アプリケーションを使用して、ユーザーに代わってタスクを完了したり、ミーティングの内容に基づいてサービス リクエストを作成することができる。
パーソナライズしてスキル向上へ
- パーソナル コーチ:AI Companionを使用して、Zoom Meetings、Zoom Team Chat、Zoom Mail、Zoom Phoneでのユーザーのやり取りを分析し、パターンの特定や個人のベンチマークと目標を設定することで、ミーティング、チャットでの対応、チームの一体感における効率改善を支援するパーソナル コーチが、プレゼンテーションやコミュニケーションのスキルを向上させる。
- Zoom Clips向けカスタム アバター:AIが生成したカスタム アバターを使用して、トランスクリプトつきのクリップを作成することで、ビデオクリップ作成の効率化を支援する。ユーザーは自分自身を録画してパーソナル アバターを作成し、そのアバターのビデオクリップはトランスクリプトから生成された音声と同期される。さらに、ディープ フェイク作成に悪用されないよう、安全対策も組み込まれている。
Zoom 最高製品責任者 Smita Hashim 氏のコメント
ZoomではAIファーストのワーク プラットフォームとは、AIがZoom Workplaceの中心に位置し、一日のあらゆる場面でユーザーをサポートすることを意味します。AI Companion 2.0 の機能強化により、ユーザーはより多くの仕事をこなし、最も重要なことに集中できるようになりました。また、AI Companionの新しいカスタム アドオンにより、組織は手頃な価格でAI Companionをそれぞれのニーズやワークフローに合わせてカスタマイズできるようになります。