Salesforceは、Salesforceのユーザーがエンタープライズ向け生成AIを活用して信頼性を確保しながら、カスタマーエクスペリエンスと企業の生産性を強化できるよう支援する「AI Cloud」を発表した。
AI Cloudは、さまざまなアプリケーションやワークフローにおいて、信頼性の高いオープンでリアルタイムの生成を実現することに最適化された一連の機能群。新たに搭載された「Einstein GPT Trust Layer」は、エンタープライズデータのセキュリティやコンプライアンス要件に対応しながら生成AIのメリットを活用できるため、生成AI活用のリスクに対する懸念を解消する。AI Cloudの心臓部となるCRM向けAI「Einstein」に生成AIを搭載することで、営業、サービス、マーケティング、コマースの領域で、企業や社員の生産性と効率の向上を支援する。
AI Cloudの活用例
- 営業担当者:顧客ニーズに合わせパーソナライズされたメールを自動生成する。
- サービスチーム:パーソナライズされたエージェントのチャット返信やケースサマリーを自動生成する。
- マーケティング担当者:パーソナライズされたコンテンツを自動生成し、メール、モバイル、ウェブ、広告などさまざまなチャネルで既存顧客や潜在顧客にアプローチする。
- コマースチーム:バイヤージャーニーのすべてのステップで、カスタマイズされたコマース体験を提供するためのインサイトやレコメンデーションを自動生成する。
- 開発者:コードを自動生成し、コードに潜むバグを予測し、修正を提案する。
信頼性とオープン性
- サードパーティーのLLMの活用:I CloudはAmazon Web Services(AWS)、Anthropic、CohereなどのLLMをSalesforceのインフラストラクチャ内でホストできるよう設計。AI Cloudにより、顧客のプロンプトやレスポンスをSalesforceのインフラストラクチャ内で保持できる。さらに、SalesforceとOpenAIは共同で信頼性の構築に取り組むパートナーシップを締結。Enterprise APIと安全性ツールを使用して、Einstein GPT Trust Layerと融合させたコンテンツモデレーションを共同で提供し、Salesforce内に保持されるデータの維持を支援する。
- SalesforceのLLMの活用:AI Cloudでは、コード生成、業務プロセスの自動化支援といった機能を提供するため、Salesforce AI Researchが開発したSalesforceのLLMを活用できるようにする。CodeGen、CodeT5+、CodeTFといったSalesforceのLLMにより、生産性の向上、人材のスキルギャップの解消、導入コストの削減、インシデント検知の強化を支援する。
- Bring Your Own Model(BYOM):Salesforce以外の環境で独自のドメインに特化したモデルをトレーニングしている顧客は、データを顧客のインフラストラクチャに保管しながらAI Cloudを活用できる。Amazon SageMakerやGoogleのVertex AIなどで稼働するモデルを、Einstein GPT Trust Layerを通してAI Cloudと直接連携させることが可能。顧客データを顧客の信頼できる境界内にとどめておける。
ビジネスに対応
- Salesforceのすべてのアプリケーションで生成AIを提供:Salesforceはすべての製品に信頼できるAIを組み込み、Sales GPT、Service GPT、Marketing GPT、Commerce GPT、Slack GPT、Tableau GPT、Flow GPT、Apex GPTとして提供する。
- プロンプトテンプレートとビルダー:Salesforceはハーモナイズされたデータを使って最適化するAIプロンプトを開発しており、生成される出力結果をあらゆる企業の独自のコンテキストで提供することが可能。これにより、セールス、サービス、マーケティング、コマース、IT部門は、ハルシネーションを回避し、時間やコストを節約しつつ、信頼できる生成AIから価値を得ることが期待できる。