パーソル総合研究所は、東京五輪開催期間中かつ緊急事態宣言下におけるテレワークの実態・課題を定量的に把握することを目的に、2021年7月30日~8月1日に2万人規模の調査を実施し、結果を取りまとめ発表した。新型コロナ下における2万人規模のテレワーク調査の結果は、今回が5回目となる。
正社員のテレワーク実施率(全国平均)
東京五輪開催期間中かつ緊急事態宣言下における正社員のテレワーク実施率は、全国平均で27.5%。2020年4月比(1回目の緊急事態宣言時)では0.4ポイント減となり、20年11月比では2.8ポイントの微増となった。
東京都における正社員のテレワーク実施率
4度目の緊急事態宣言の対象となった東京都に限ってみると、東京都における正社員のテレワーク実施率は47.3%。2020年4月比(1回目の緊急事態宣言時)では1.8ポイント減となり、20年11月比では1.5ポイントの微増だった。
雇用形態別のテレワーク実施率(全国平均)
正社員のテレワーク実施率が27.5%であるのに対して、非正規雇用(パート・アルバイト、契約社員、嘱託社員、派遣社員)では17.6%と9.9ポイントの差。公務員・団体職員のテレワーク実施率は14%とさらに低い。
企業規模別(従業員数別)の正社員のテレワーク実施率
従業員1万人以上の企業における正社員のテレワーク実施率が45.5%であるのに対して、従業員10~100人未満では同15.2%となり、30.3ポイントもの大差がついた。調査結果の推移をみても、大手企業と中小企業の「テレワーク格差」は縮まらないままである。中小企業では、未だにテレワークの社内制度や ICT 整備が進んでいないこと、ひとりで複数の業務をこなすため出社の必要性が生じやすいことなどが背景にあると考えられる。
業種別・職種別のテレワーク実施率
業種別にテレワーク実施率をみると、もっとも高い割合となったのは「情報通信業」で60%となった。また、職種別でもっとも高い割合となったのは「IT 系技術職」で63.2%となった。
テレワークの頻度
直近3ヵ月(2021年5月から東京五輪開催期間中)の各期間におけるテレワークの頻度をみると、東京都であってもわずかな上昇にとどまり、ほぼ横ばいの結果となった。また、全国においても同様の傾向で、実施率・頻度ともにほとんど変化は見られなかった。
テレワーク継続希望
テレワーク実施者にテレワークの継続を希望するかどうか聞いたところ、テレワーク継続希望率は78.6%と、約8割となった。
テレワーク継続希望率は調査を重ねるたびに上昇、現在も高止まりしている。また、コロナ収束後の希望をたずねると、現在テレワークを行っている者では、1週間に1日以上を希望している者が78.8%となり、現在テレワークを行っていない者では同33.0%であった。
テレワークを行っていない理由
「テレワーク制度が整備されてない」「ICT 環境が整備されていない」は徐々に減少する傾向にある。
調査概要
- 調査内容:新型コロナウイルス対策によるテレワークの実態・課題について、東京五輪開催期間中かつ感染拡大による緊急事態宣言下での状況を定量的に把握する。
- 調査手法:調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
- 調査時期:2021年7月30日-8月1日
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調査対象者:全国の就業者 20~59歳男女、勤務先従業員人数10人以上
正規雇用 n=20,514/非正規雇用 n=4,931/公務員・団体職員 n=364