日本労働調査組合は、会社員のブラック企業に対するイメージを調査するため、「ブラック企業に関するアンケート」を実施した。同調査の結果、自身の勤務先がブラック企業だと思うと回答した人は全体が31.2%、20代が33.9%、30代が33.5%、40代が25.9%だった。
調査結果の詳細は、次のとおり。
自身の勤務先がブラック企業だと思うと回答したのは31.2%
勤めている会社はブラック企業だと思うか?という質問には、「思う」が31.2%、「思わない」が48.6%、「わからない」が20.2%の結果に。「わからない」も含めると、51.4%が自身の勤務先を「ブラック企業ではない」と否定していなく、「ブラック企業である」もしくは「ブラック企業かもしれない」と考えている様子がうかがえる。
2014年に連合が実施した「ブラック企業に関する調査」によると、ブラック企業だと「思う」と回答した人は26.9%、「思わない」と回答した人は73.1%だったが、今回の調査では「思う」と回答した人は4.3ポイント増、「思わない」と回答した人は24.5ポイント減(当調査では「わからない」の中間設問を用意)だった。
年代別では20代が33.9%、30代が33.5%、40代が25.9%
前項の勤めている会社はブラック企業だと思うか?という質問の年代別比率は、「思う」と回答した「20代」が33.9%、「30代」が33.5%、「40代」が25.9%、「思わない」と回答した「20代」が48.3%、「30代」が41.5%、「40代」が56.6%、「わからない」と回答した「20代」が17.8%、「30代」が25.0%、「40代」が17.5%だった。若い世代ほどブラック企業だと「思う」の回答が多く、上の年代ほど「思わない」の回答が多くなっています。40代は勤続年数が長かったり、役職者だったり、若い世代に比べれば、自身で働きやすい環境を作りやすいと考えられること、また若い世代と上の世代での働き方、特に時間の使い方に関する意識の変化が数字に表れている様子がわかる。
ブラック企業だと思う定義の第1位は「サービス残業」、第2位は「ハラスメント」
自分が思うブラック企業の定義についての質問には、第1位が「サービス残業」で36.9%、第2位が「ハラスメント」で17.2%、第3位が「長時間労働」で15.8%、第4位が「残業が多い」で13.7%の結果となった。1位は断然で「サービス残業」だったが、一方で4位には「残業が多い」の意見があり、残業代が支払われないことを否定する意見と、残業自体を否定する意見がそれぞれ独立しています。
カテゴリ別の内訳比率は、第1位が「労働時間」で69.1%、第2位が「ハラスメント」で29.6%、第3位が「休日」で19.5%、第4位が「給与待遇」で17.7%。カテゴリ別にすると「労働時間」が約7割で圧倒的だった。
経験したブラック企業に関するエピソード※一部抜粋
労働時間
- 連日信号が点滅するまで働いている
- 残業代が30分ごとに出るが強制的に29分でタイムカードを切らされる
- 上司から「サービス残業ではなく思いやり残業だと思って仕事しろ」と言われた
- 定時8:30~だが7:30までの出社を強制される
ハラスメント
- 業務チャットツールの個人同士でのやり取りを管理職が閲覧している
- 昇格制度について質問をすると昇格には「上に媚びること」と言われた
- 社内全体会議の司会進行には必ず若手女性社員がアサインされる
休日
- 有給を使うと周囲から引かれる
- 休日を取ると出張の移動日にさせられる
- 上司は土日休みだが自身は平日休みで土日出勤
給与待遇
- 退職連絡をしたら退職日を迎えるまでに社会保険を解約されていた
- 残業しなければ終わらない業務量なのに残業するとボーナス査定が下がる
- 毎日残業休日無しで働いているのに平均月収よりも安い
その他
- 一時給付金受給のために従業員を休業として届け出ているが実際は業務のために出勤させている
- 本人が特定されないはずの内部通報制度で本人が特定される
- ブラック企業大賞に会社がノミネートされたら給与が上がった
調査概要
- 調査対象:20~49歳の会社員516名
- 調査地域:全国
- 調査期間:2021年6月1日~2021年6日8日
- 調査方法:インターネット調査