アイ・ティ・アール(以下、ITR)は、国内のIaaS・PaaS市場規模推移と予測を発表した。
同市場における2019年度の売上金額は6,020億2,000万円で前年度比27.7%増の結果に。市場を構成するベンダーの大半が前年度より売上げを伸長し、市場を牽引した。同社は、IaaS・PaaS市場のCAGR(2019~2024年度)は17.2%、2022年度には1兆円規模に達すると予測している。
調査結果を受けて、ハイブリッド環境やマルチクラウド環境を志向する企業が増加傾向にあるほか、基幹システムをクラウド化する企業が増加したことから、IaaSの導入企業が年々増加している点を指摘。ベンダーシェアは、上位のメガクラウドベンダーによる寡占化が進んできており、ハイブリッド化やマルチクラウド化の進展により、この傾向はより強まると同社は推察した。
PaaSについては、増加傾向にあるDX推進企業の技術的な基盤として需要の高まりがうかがえた。各ベンダーも開発環境のみならず、周辺サービスの充実やサービス体系の再構築を進めるなど、PaaSを含めたDX関連サービスの強化が推し進められている。こうした状況から、同社は「今後もDX推進の動きにともない導入の促進が推察される」と述べている。
ITRのプリンシパル・アナリスト甲元宏明氏のコメント
「日本においては、これまでクラウドに消極的だった金融業界がクラウド活用を牽引するようになり、現在ではすべての業種がクラウドを積極的に利用するようになっています。多くのオンプレミスシステムを抱えている大企業では、既存インフラごとにIaaSに移行するケースも増えており、IaaS活用はますます進むと思われます。また、国内企業におけるクラウドネイティブ・アプリケーションに対する理解も進んでおり、新規システムをクラウドネイティブで構築するケースも増えています。今後も、クラウド市場が拡大の一途を辿るのは間違いありません」