総合人事・人財サービスを展開するアデコは、部下を持つ管理職を対象に、2020年4月発出の緊急事態宣言にともなうテレワークの実態について調査を行った。同調査では、テレワーク経験の有無による意識の差を明らかにするため、「2019年末までにテレワーク経験がある管理職(以下、テレワーク経験のある管理職)」300人と、「緊急事態宣言後に初めてテレワークを経験した管理職(以下、テレワーク未経験の管理職)」300人の、計600人を対象に調査を実施している。
調査結果の詳細は、次のとおり。
「テレワーク経験のある管理職」のほうが緊急事態宣言下のテレワークで部下とコミュニケーションが取れたと回答
緊急事態宣言下でのテレワークについて、「テレワーク経験のある管理職」の67.0%が、部下と十分にコミュニケーションを取ることができたと回答した。これは「テレワーク未経験の管理職」(52.7%)よりも約15ポイント高く、緊急事態宣言前のテレワークの経験の有無が部下とのコミュニケーションに影響していることがうかがえた。
「テレワーク未経験の管理職」はコミュニケーション時間減少 「テレワーク経験のある管理職」はコミュニケーション頻度増加
緊急事態宣言下でのテレワークについて、部下とのコミュニケーションが増えているか、「時間」と「頻度」についてそれぞれ聞いた。
「時間」について、「テレワーク未経験の管理職」の41.7%が「減った」と回答し、「増えた」(22.7%)よりも19.0ポイント高くなったが、「テレワーク経験のある管理職」では、「増えた」(30.3%)と「減った」(28.3%)はほぼ同じくらいにとどまった。
「頻度」について、「増えた」と回答したのは「テレワーク経験のある管理職」(37.0%)の方が、「テレワーク未経験の管理職」(24.3%)より12.7ポイント高い結果に。
緊急事態宣言下で、「テレワーク未経験の管理職」では部下とのコミュニケーションの「時間」が減った一方で、「テレワーク経験のある管理職」は部下とのコミュニケーションの「頻度」を高めていた傾向がうかがえる。
半数の「テレワーク未経験の管理職」のコミュニケーションはメール中心 「テレワーク経験のある管理職」のコミュニケーション手段に多様性
緊急事態宣言下でのテレワークについて、部下とのコミュニケーション手段について、もっとも頻度高く利用したものは「メール」で、「テレワーク未経験の管理職」では約半数の49.0%となり、「テレワーク経験のある管理職」(38.0%)よりも10ポイント以上高い結果となりました。一方で、「テレワーク経験のある管理職」は、「オンライン会議」や「チャット」、「電話」の回答率は、「テレワーク未経験の管理職」よりもいずれも高く、「テレワーク未経験の管理職」と違って、さまざまな手段を選択していることがうかがえる。
「テレワーク経験のある管理職」半数以上がオンラインで部会や面談実施 「テレワーク未経験の管理職」とは15pt以上の差
緊急事態宣言下でのテレワークについて、部下とコミュニケーションをとるための工夫を聞いたところ、「テレワーク経験のある管理職」でもっとも高かったのは「部会・課会(オンライン)」(62.3%)で、次いで「個別面談」(54.7%)でいずれも半数以上が活用していました。「テレワーク未経験の管理職」の回答と比較すると、ともに15ポイント以上の差となった。
また、「テレワーク未経験の管理職」でもっとも回答が高かったのは「業務報告」(46.0%)で、それ以外の工夫については、「テレワーク経験のある管理職」よりも低い回答率となった。
「テレワーク経験のある管理職」半数は良かった点に「業務効率向上」回答 「テレワーク未経験の管理職」とは20ptのひらき
マネジメントする立場でのテレワークを実施して良かったところを聞くと、ともにもっとも高かったのは、「部下のワークライフバランスがとりやすい」で、「自身のワークライフバランスがとりやすい」が「テレワーク経験のある管理職」の2位、「テレワーク未経験の管理職」の3位にあがり、ワークライフバランスに関する項目が上位にあがった。
一方、「テレワーク経験のある管理職」の50.0%が回答した「業務の効率が上がる」は、「テレワーク未経験の管理職」では、30.0%となり、20ポイントもの差が出た。また、「テレワーク経験のある管理職」の3割近くが「部下の自立心が向上する」をあげたが、「テレワーク未経験の管理職」では17.7%にとどまり、12.3.ポイント差が出る結果となった。
「テレワーク経験のある管理職」は9割以上がテレワーク続けたい意向 「テレワーク未経験の管理職」は約7割にとどまる
自身と部下について、今後もテレワークを続けたいか質問したところ、「テレワーク経験のある管理職」は「自身」「部下」がともに9割を越えた(ともに92.7%)一方で、「テレワーク未経験の管理職」は「自身」(75.0%)、「部下」(73.0%)ともに7割にとどまった。いずれもテレワーク意向が高いものの、「テレワーク経験」の有無で20ポイント近い差がつく結果となった。
緊急事態宣言下にテレワーク経験した管理職は「週2日以上のテレワークが最適」の考え
テレワークの最適な頻度について質問したところ、「テレワーク経験のある管理職」は「週4日以上」と「週2~3日ほど」が最多(ともに44.7%)となった。一方、「テレワーク未経験の管理職」は「週2~3日ほど」(43.7%)がもっとも多く、「週4日以上」は29.3%と「テレワーク経験のある管理職」より約15ポイント低い結果となった。
また、「週4日以上」と「週2~3日ほど」の回答率を合計すると、「テレワーク経験のある管理職」では89.3%、「テレワーク未経験の管理職」では73.0%となり、全体では、緊急事態宣言下にテレワークを経験した管理職は、週2日以上のテレワークが最適と考えていることが判明した。
調査概要
調査対象
50人以上の従業員がいる会社に勤めている正社員で、3人以上の部下がおり、以下のいずれかの条件に当てはまる日本全国の20歳~59歳の男女
- 2019年までに1ヶ月あたり2~3日以上のテレワークをしており、2020年4月の緊急事態宣言後に週4日以上テレワークをした人(テレワーク経験のある管理職)
- これまでテレワーク未経験で2020年4月の緊急事態宣言後に週4日以上テレワークをした人(テレワーク未経験の管理職)
サンプル数
600人(テレワーク経験のある管理職:300人、テレワーク未経験の管理職:300人)
調査方法
インターネット調査
実施時期
2020年7月25日~27日