4月22日、セールスフォース・ドットコム新型コロナウイルスの拡大により影響を受けているさまざまなビジネスや組織に対し、働き方やコミュニケーションの支援を行うソリューション「Salesforce Care」の提供に関するオンライン会見を開催した。
「Salesforce Care」はコロナ禍においても企業がビジネスを変革し、顧客が期待するパーソナライズ化された顧客対応を実現するためのプラットフォーム。提供されるコンテンツは大きく4分野に分かれている。
- 在宅勤務中の従業員間のコラボレーションを支援する「Quip」の無償提供
- 中小企業向けに対する、CRM「Salesforce Essentials」とビジネスインテリジェンス「Tableau」の無償提供
- 従業員・顧客・コミュニティーを支援し、解決策やコンテンツを提供する「AppExchange COVID-19 リソースセンター」の立ち上げ
- 全国の保健所を対象に業務削減や作業効率の向上をサポートし、感染拡大防止の一助を担う公共領域への取り組み
セールスフォースは上記4点を持って、在宅勤務やビジネスの支援を行う。
ひとつめは「Quip」の無償化である。リモートワークの課題として、メンバーの作業状況のわかりづらさや、業務スピードの低下などが挙げられる。そこで、セールスフォースは業務遂行に必要な機能とチャットがひとつの画面に集約されているツール「Quip」を9月30日までユーザー数無制限で無償提供する。
ふたつめは中小企業向けのCRM「Salesforce Essentials」とビジネスインテリジェンス「Tableau」の無償提供だ。
CRM「Salesforce Essentials」は90日間、最大10名までを対象に無償提供する。コロナ禍において、刻々と変わる顧客ニーズへ対応していくことが求められる。多岐に渡る顧客ニーズに向けて「Salesforce Essentials」を導入することで、在宅勤務であっても各営業の持つ顧客情報の一元管理、情報共有が可能となるため在宅勤務中でも、マネージャーはチームがの商談状況をいつでも把握でき、データを基にした指導やアドバイスが可能になる。設定はITシステム管理者でなくてもスムーズに行える。
データビジュアライゼーションのソフトウェア「Tableau」は、ドラッグアンドドロップだけでデータを可視化・共有でき、PCだけでなくモバイルからでも操作閲覧が可能なツール。今回無償提供されるのは多くのデータに接続でき、容易なデータ分析を実現する「Tableau Desktop」、複数のデータを統合し、データの中身を整えることで、データ分析の8割を占めるといわれるデータ準備の時間を削減できる製品「Tableau Prep Builder」。2種類を組み合わせることによって、分析プラットフォームとして利用できる。14日間の無料トライアルを開始し、承認されると従業員20名未満の中小企業で10名まで90日間無料で利用できる。
3つめは「AppExchange COVID- 19リソースセンター」の立ち上げである。Salesforceは「AppExchange」というアプリケーションポータルを保有しており、そこから今回の事態において利用可能なパートナーのアプリケーションを集め、顧客ニーズに対応するソリューションを提供する。15社16タイトルのツールがすでに支援に参画しており、さまざまな機能からリモートワークを支援する。
たとえば、リモートにおいて懸念される紙の契約書への捺印には、ドキュサインが契約業務のデジタル化を一定期間無償で提供する。また、リモートで懸念される従業員の状況把握には、Salesforce Labsが開発したアプリケーション「Crisis Response」が有効だ。危機対応や健康支援プログラムの策定に対応可能であり、これらも無償で提供される。
4つめは、「新型コロナ保健所業務支援クラウドパッケージ」の無償提供である。提供する解決策は、相談記録業務の電子化や、各種帳簿のデータベース化、集計の効率化など。5つのクラウド利用ライセンスが9月30日まで無償で利用可能だ。
なお、セールスフォース・ドットコムでは、今回無償提供されるサービス群について、eラーニングなどを拡充させることで各企業が自分たちでテクノロジーを使いこなせるような支援も合わせて続けていく。
コロナ禍は中長期化することが予想される。そのためセールスフォース・ドットコム含め多くのSaaS企業が日々の業務の省力化、効率化、自動化を可能にするようなサービスの提供を拡大することが見込まれる。