アカウントマネージャーが期待される役割と実態
──横断合意された仕組みをつくり、属人的なノウハウと循環させていく。非常に難しい挑戦ですね。
桐原 ええ。多くの企業が課題を感じていますね。とくに多いのが、先ほど村瀬も触れていた「ストーリーが統一されていない」、つまり社内の認識が一致していないという課題です。組織がバラバラとなり、個別のKPIを追いかける中で、ストーリーもずれていくのです。
これを解決するには、アカウントプランを作成するなどして顧客に対する価値提供のシナリオを共有したり、顧客に対するアクティビティ全体を統括して指示を出す「司令塔」を設けたりする方法があります。外資企業では「アカウントマネージャー」がこうした役割を担っていますが、日本でこの役割を設けている企業は、まだ多くはありません。
並木 たしかに。日本でも、エンタープライズ開拓を成功させるためには、営業がアカウントマネージャーへ進化していく必要がありますね。挑戦している企業も増えてはいますが、組織構造や職種を整えることに留まり、本質的には実現できていないように感じます。
桐原 アカウントマネージャーという職種を設けていても、その内容は従来の営業と変わらないといったケースも見られます。
本来、アカウントマネージャーはプロジェクトマネージャーに近い役割であり、BDR(Business Development Representative)のアクティビティやカスタマーサクセスの支援状況、トラブルの解決まで含めて統合管理していく必要があります。
この活動を支援する仕組みを構築することがエンタープライズ開拓では重要ですが、そもそも「アカウントマネージャーとは何か」という定義から考えなければならないかもしれません。
株式会社ナレッジワーク 専門役員 Principal アカウントマネージャー 桐原 理有氏
2001年、法政大学経営学部卒業。2004年、株式会社ワークスアプリケーションズ入社。大手法人営業に14年間従事。売上合計金額・顧客単価は、当時の同社史上最高を記録。2022年、スタートアップ2社にて執行役員を務めた後、株式会社ナレッジワーク入社。
村瀬 たしかに、役割の定義は企業によって異なるかもしれませんね。たとえば「エンタープライズBDR」とひと言で言っても、SDR(Sales Development Representative)の要素を含む場合や、事業開発のような活動を行っていることもあります。
営業変革を考える際は「戦略」「仕組み」「現場実装」といったさまざまなキーワードが出現しますが、施策を打とうとする前に、まずは定義と認識をそろえる必要がありそうです。
並木 そうした定義や認識の統一が、イネーブルメントの一丁目一番地かもしれませんね。今回の連載でも、アカウントマネージャーをはじめ、ナレッジワークにおける役割の定義を紹介していきましょうか。
