バーチャレクスグループのバーチャレクス・コンサルティング(以下、バーチャレクス)は、「カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」を実施し、前回の第二弾に引き続き2026年版第三弾の結果を取りまとめた。本調査では、カスタマーサクセスの経営基盤化の進展と、AI活用の深度が成果を分ける実態が明らかになった。

カスタマーサクセスの必要性に対する意識の変化
図1:2026年 カスタマーサクセスの必要性に対する直近1年間の意識の変化(n=794、自社でカスタマーサクセスに取り組んでいる人)
今回の調査において、「自社でカスタマーサクセスに取り組んでいる人」と回答した中の794人に対して、直近1年間におけるカスタマーサクセスの必要性に対する意識の変化を質問したところ、78.5%が「必要性を感じるようになった」と回答した。これは前年の75.7%から2.8ポイントの上昇となった。
図2:2026年 カスタマーサクセスの必要性に対する直近1年間の意識の変化(n=176、自社でカスタマーサクセスに取り組んでいる経営層/役員職以上)
その中で、経営層・役員以上に絞って聞いてみると、前年の70.3%から8.1ポイント上昇し、78.4%が「必要性を感じる」と回答した。
図3:2026年カスタマーサクセスの必要性に対する直近1年間の意識の変化(自身がカスタマーサクセスに取り組んでいる)
とくに注目すべきは、自らカスタマーサクセスの取り組みに直接関与している経営層・役員職以上の意識変化で、その必要性を実感している割合は82.5%と、現場の一般社員(78.5%)を上回る割合となった点である。前年まではトレンドとして受容されていたカスタマーサクセスが、今年は収益基盤を支える実利的な投資対象へと、経営層の認識が変化している様子がうかがえる。
図4:2026年 カスタマーサクセスの必要性に対する直近1年間の意識の変化(サブスクリプション型商材取り扱い有無別)
次に、サブスクリプション型(サブスク)商材取り扱い有無別では、取り扱いがある企業では83.8%(前年78.2%)がその必要性を感じており、カスタマーサクセスが検証段階の施策ではなく、収益構造を支える経営基盤として定着した状況を裏づけた。また、「必要性を感じない」と回答した層が前年の6.0%から3.8%へと減少した点は、市場の成熟を象徴している。
一方で、サブスク商材の取り扱いがない企業では、カスタマーサクセスの必要性を感じる割合が47.0%と、前年(46.9%)から横ばいで推移する中、「どちらとも言えない」と回答した中間層が49.0%へと上昇し、前年の44.9%から4.1ポイント増加した。この数値は、単なる意識の停滞ではなく、「必要性は感じているものの、自社にどう適用すべきか判断しきれていない企業が増えている」状態を示唆している。
カスタマーサクセス効果の感じ方
図5:2021年~2026年 カスタマーサクセス効果の感じ方(経年比較)
図5は、2021年から2026年にかけて、カスタマーサクセスに取り組んでいる企業がその効果を感じているかを経年で表したものになる。今年は過去最高の61.2%を記録した。2021年の51.4%から上昇を続けてきた一方で、2022年以降は60%前後での推移が続いており、従来の手法だけではさらなる成果向上に限界が見えはじめている状況がうかがえる。
図6:2026年 カスタマーサクセス効果の感じ方(サブスクリプション型商材取り扱い有無別)
さらに、サブスク型商材取り扱い有無別で見ると、サブスク商材を取り扱っている企業でカスタマーサクセスの効果を感じている人は69.2%(前年64.2%)へと上昇し、効果を感じていない人は8.8%(前年10.9%)へ減少している。運用サイクルの成熟が進み、カスタマーサクセスの「やり切り」が具体的な成果に結びつき始めていることがうかがえる。
一方で取り扱いがない企業では効果を体感している層が37.9%(前年39.8%)と微減し、サブスク企業の約半分にとどまっている。とくに「どちらとも言えない」層が44.6%(前年42.0%)へと拡大しており、必要性は認識しつつも、実務において成果の出し方に苦慮し足踏みしている実態がうかがえる。効果を感じていない層も17.5%とサブスク企業の約2倍の水準で推移した。
図7:2026年 カスタマーサクセス効果の感じ方(業種別)
業種別では、成功モデルの変化とも言える動きが顕著だった。先行してきたIT・デジタル関連業種のカスタマーサクセス効果実感は60.1%と前年(63.1%)から下落し、カスタマーサクセスの提供が当然視される減点評価のフェーズに入っている可能性が考えられる。一方で、サービス業(68.1%)や建設・不動産・流通(65.8%)といった非IT領域が前年から伸長し、IT業界を上回る効果実感の逆転現象が起きている。これは非IT領域におけるデジタルフォロー等の導入が、顧客にとって新しい体験として高く評価されている背景を示唆している。
図8:2026年 カスタマーサクセス効果の感じ方(顧客対応領域におけるAI導入活用状況別)
今回の分析でもっとも象徴的だったのは、AIの活用深度と効果実感の相関だった。業務の大部分でAIを高度に活用し、データ分析や先回り予測まで自動化している層のカスタマーサクセス効果実感は82.0%に達していた。これは「カスタマーサクセスの取り組みに対して効果を感じている」と答えた人の割合(61.2%=全体平均)を20ポイント以上上回る数値である。人力の限界をテクノロジーで補完したことで、プロアクティブな提案というカスタマーサクセスの本質的な価値を実現できている状況が示唆される。
対照的に、チャットボットやFAQ対応などの「部分的な活用」にとどまる層の効果実感は61.2%と、全体平均と一致する結果となった。この結果は、限定的な自動化がすでに市場における標準となっている現状を示している。
さらに、試験的活用層(40.8%)や未導入・検討中の層(約22%)では効果実感が沈んでおり、高度活用層との間には約60ポイントもの差が生じている。とくに注目すべきは、「導入はしているが活用できていない」層の効果実感が最低値の19.2%にとどまり、効果を感じていないと回答した割合が42.3%に達している点である。
【調査概要】
「2026年カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」
調査方法:インターネットアンケート
調査実施期間:2026年3月12~17日
対象地域:全国
対象者:20歳から65歳の有職者(契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、個人事業主・フリーランス、専業主婦・主夫、家事手伝い、学生を除く)45,571人
