オンラインで本音は拾えない 当事者意識を醸成する「対話」
──導入後の定着は最大の難関ですね。現場でのツール活用を「日常化」するため、どのような施策を講じたのでしょうか。
我々が実践したのは、「オフラインの対話」を徹底することでした。遠方の拠点にはできる限り現地に足を運び、SFAをリプレイスする重要性を繰り返し説明しました。
──やはり、そうしたオフラインでの対話は重要ですか。
ええ。なぜなら、オンライン会議はマイクやカメラをオフにしたり、話さない人がいたりと、本音を吸い上げられないことが多いんですね。しかしオフラインの場では、ほかの人の発言をきっかけに話しやすくなる。自然と、変革に対する疑問や要望といった本音も出てくるんです。
それら1つひとつに向き合い、改善を重ねる。「自分たちの声が会社に届き、システムが変わる」という実感が、現場に「やらされている業務」ではなく「自分たちのための活動」だという当事者意識を芽生えさせました。
本格導入後もこのフィードバックサイクルを続けています。地味で手間のかかる取り組みですが、ツールの活用を日常化させるうえで不可欠なプロセスだと認識しています。

SFA入力件数60%増 長期スパンで目指す「データドリブン」な営業変革
──SFAのリプレイスに着手して約1年、どのような変化が表れていますか。
定量的な成果として、テストエリアでの活動報告件数が前年比で約60%増加しました。特筆すべきは、17時以降の報告作業件数が約50%減少したことです。外出の隙間時間の活用により、帰社後の報告業務が大幅に削減されました。
また、新ツールの地図機能によって、営業担当者が顧客先周辺の「未訪問先」や「フォロー漏れの顧客」を視覚的に把握できるようになり、活動の幅が広がったのも大きな成果です。
──「労務提供」を可視化できた点は、今後の戦略立案において大きいですよね。
そのとおりです。活動記録を「販促(提案・説明会)」と「労務提供(採寸・打ち合わせ)」に区分して入力するルールを設けたことで、営業担当者ごとの活動構成比が明確に見えるようになりました。
このデータが蓄積されれば、販促活動の比率が高い担当者の売上傾向を分析するなど、データに基づいた営業戦略の立案が可能となるでしょう。しかし、売上との連動を本格的に評価するには、ある程度長期での検証が必要だと考えています。それがこれからの挑戦ですね。
──長期的な視野で結果を求め、粘り強く続ける覚悟が、今の営業企画室を支えているのですね。
そうです。「結果が出ないから辞める」のでは、変革は実現しません。現場に定着するまで変革をやり抜く覚悟を持ち、挑戦を継続していくことが、営業企画室のミッションだと考えています。
──本日はありがとうございました!
