「いつかやるなら今やろう」 サンクコストを乗り越えた“覚悟”
──課題解決のために、SFAのリプレイスを実施されました。最初からリプレイスありきだったのでしょうか。
DX推進チームを率いた当時の担当者によると、実はリプレイスを決断する以前、既存ツールの改修で解決できないか検討しました。そのほうがコストは抑えられますから。
しかし、入力しやすいUIに改修しようと試みたものの、スマホでの操作性が改善されず、なかなか入力件数が伸びないことで、改修を継続することに課題を感じていました。こうした試行錯誤を経て「この課題を根本から解決するには、やはりリプレイスしかない」という結論に至ったのです。
──そのタイミングで、佐藤さんが営業企画室長に着任されたのですね。
そうなんです。話を聞いて、「サンクコストを惜しんで様子を見ても、結局5年後にリプレイスするくらいなら、今やろう」という覚悟のもと、リプレイスに向けて舵を切ったのです。
リプレイスを決意してからは、展示会を回るなど、新たなツールを探しました。その中で見つけたのが、地図を見ながら訪問先を把握でき、移動の合間にスマホで直感的に商談記録を入力できる、現在運用しているSFAでした。

経営層の納得感を後押しした「3拠点でのテスト運用」
──これまでの投資もある中で、SFAのリプレイスにおける社内の合意形成、とくに経営層を巻き込むのは容易ではありません。その点について、どのように進めたのでしょうか。
前提として、社長の八重島から「SFA/CRMへの投資は惜しむな」という話がありました。このトップのコミットメントは非常に大きかったですね。
とはいえ、「SFAを新しくしたい」だけでは、経営層の合意は得られません。そこで、段階を踏むことにしました。新ツールの有用性や使いやすさを証明するために、東京支店、広島支店、岡山営業所の3拠点でテスト運用を行ったんです。
──テスト運用を行った3拠点は、どのように選定したのでしょうか。
東京支店は、推進部門である営業企画室と近い距離にあり、綿密なコミュニケーションがとれることが理由です。加えて、もっとも売上が大きい拠点でどのような結果となるか検証したいという狙いもありました。
一方で広島支店と岡山営業所は、両拠点を管轄するブロック長が「やってみよう」と変革に対して積極的だったことが決め手です。ブロック長が遠隔地にいてもうまく連携できるか、出張があるエリアでもうまく運用できるか、といった視点から検証を進めました。
さらに、もっとも重要な理由は、3拠点とも若手からベテラン層まで広く分散していたことです。幅広い年齢層が在籍するトーソーの営業組織に対して、この3拠点はまさに「全社の縮図」であり、モデルケースとして最適でした。
──テスト運用の結果はいかがでしたか。
実際に使った現場から「もう従来のツールには戻さないでくれ」という、非常にポジティブな声が上がりました。この現場の実感と、活動件数の増加という実績を経営層に提示したことで、経営層も納得感を持って全社導入へGOサインを出してくれたのです。
