SalesZine(セールスジン)

注目テーマ

MarTechとSales Techはまだ遠い?アタラCEO杉原さんに聞く営業戦略とテクノロジーの話

2019/09/02 07:00

 法人営業からキャリアをスタートし、インテルでマーケティングに出会い、インターネット広告の世界へ惹かれていったというアタラ合同会社CEOの杉原剛さん。その後、転職したオーバーチュア、Googleでは営業戦略を立てる立場を経験したという。インターネット広告やITが大好きだという杉原さんに2000年代のインターネット広告業界における営業戦略や活用しているテクノロジーの話を聞いた。

ネット広告黎明期、パートナー戦略が重要だった

――営業戦略に携われる契機となった、オーバーチュア(現:ヤフー)への参画について教えてください。

インターネット広告の世界に惹かれたんです。当時のアメリカでは「インターネットショウ」――展示会ですね。そういうものが開かれるようになりました。そこでオーバーチュアの前身である「ゴートゥー・ドットコム」と出会いました。展示されている画面では、検索結果の横に「25セント」などと金額が書いてあります。クリック単価が表示されていたのですが、インターネットはすべて無料の時代です。意味がわからないと思いましたね。「払いたくないよ!」と(笑)。「そこで、これは企業が払っているんだ」と教えてもらいました。その後、転職活動をするなかでオーバーチュアが日本法人を立ち上げることを知り、参画を決めました。

 
アタラ合同会社 CEO 杉原剛さん

――実際にはどういう戦略策定に取り組まれたのでしょうか。

先行していたアメリカのやりかたを学びながら、日本の商習慣に合わせ数人がかりで原型をつくりました。とくに注力したのは営業パートナーとなる広告代理店向けの仕組みづくり、「ティアリング」と言われるものです。「サービスプランニングではティアリングがいちばん大事だからね」と、本社の人に言われ、何のことだかまったくわからなかったのですが、かんたんに言えばクレジットカードの仕組みと同じものです。エントリーカードから入って、ゴールド、プラチナと使用金額に応じてレベルが上がり、サポートやポイント交換でもらえる商品が変わっていきますよね。

各代理店にもエントリーレベルからスタートしてもらいます。そのときは固定の担当はついていない。パートナーとしてのレベルが上がると、代理店専任の担当を1名つけてサポートを手厚くします。さらに上がるとそれが3名になり、そのさらに先では売上に応じてインセンティブまでついてくるようになります。

インターネット広告が始まる前までは、数千万、数億円ないと広告を出せない時代もあったわけです。それが数千円から出稿できるようになったとはいえ、企業によって使う額はかなり違います。全員に同じサポートを提供しようとするとサービスは破綻してしまいます。少し世知辛いように思えるのですが、パートナーのレベルによってサービスの質は変えていないといけなかったんです。

各代理店を審査・認定することになるのですが、パートナー認定においては会社としてのノウハウや売上だけでなくノウハウを持つ個人が在籍していることも必要条件となります。インターネット広告の世界は、変化も大きいので常に学んでいただきコミットしてもらう必要もあるんですね。僕は学んでもらうための初代講師も担当していました。

認定の設計自体も難しいですが、パートナーのモチベーションを上げる設計も非常に難しいですね。パートナー認定のレベルが上がることへステイタスを感じてもらわないといけません。検索連動型広告はプロダクトとしてもものすごく良くできていたのですが、成功のもうひとつの土台は代理店戦略をきちんとしていたことだと思っています。とても良い体験でした。

――Googleへ転職されてからも営業戦略を担当されたとのことですが、営業組織を変化させるということにおいて苦労はありましたか。

最初は相当嫌われる立場になりますね(笑)。たとえば、Google時代は代理店商流を残しつつも広告の魅力をさらに伝えるために広告主への「直営業チーム」を新たに立ち上げたのですが、代理店営業を担当していたメンバーは「代理店とともに成長してきたのに……」と言う想いがあるので、社内でかなり反発がありました。本当に各方面から嫌われます(笑)。バランスは非常に難しいです。

※この続きは、会員の方のみお読みいただけます(登録無料)。



  • このエントリーをはてなブックマークに追加

All contents copyright © 2019 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5