インサイドセールスは組織を「循環」させる
蔭山(Smapo) スマートキャンプが発行した『インサイドセールス業界レポート2023~2024』では、インサイドセールスが抱える課題として、第1位に「データを使いこなせていない」、第2位に「セールス部門との連携不足」が挙げられています。本セッションではユーザベース 畑佐さん、IVRy 工藤さんと、これらの課題をひも解いていきたいと思います。
最初のテーマは「インサイドセールス組織の立ち位置」。ユーザベース、IVRyでは、どのようなインサイドセールス組織をつくっているのでしょうか?
畑佐(ユーザベース) インサイドセールスは、マーケティングとセールスの両方を理解して調整するクッションの役割があると考えています。そのためにはインサイドセールスがマーケティングやセールスへ染み出していかなければなりません。たとえばマーケティングに対してメール施策やリスト作成を提案し、セールスに対しては、デモンストレーションを行い顧客のニーズを喚起してからトスアップする。ここまで踏み込むと部門間の連携が良くなるだけでなく、インサイドセールスという役割の社会的価値も向上していくと思います。
とくにセールスとの連携は、「基準」がないと難易度が上がります。ユーザベースでは、マーケティングが創出したMQL(Marketing Qualified Lead)に対して、架電する必要性があるかどうかインサイドセールスが目検で判断するTQL(Teleprospecting Qualified Leads)をファネルに組み込んでいます。その際、「ターゲット企業」かどうか、部署や役割といった「ペルソナ」、さらにBANT情報を加えた6つの要素をセールスと合意し、トスアップするクライテリア(基準)を定めていることで、セールスやマーケティングと「ペルソナが合っていないから架電しません」といった会話ができる。これをクライテリアを定めず属人的に行うと、連携がうまくいかなくなってしまいます。
工藤(IVRy) クライテリアはどのように決めていくと良いでしょうか。
畑佐 インサイドセールスのフェーズによるのではなく、セールスのリソース次第だと思います。セールスのリソースがあるならどんどんトスアップして、逆にリソースがないならクライテリアを高くしてトスアップの数を抑える。そのように調整すると良いのではないでしょうか。
蔭山 クライテリアはどのぐらいの頻度で見直しているんですか。
畑佐 ちょくちょく見直していますね。セールスのリソースは週次で状況が変わりますから。インサイドセールスがトスアップする件数を増やしたり減らしたりこまめに調整することで、組織全体が循環していくと思っています。インサイドセールスのメンバーにも、「自分たちが調整を担うことで、セールスや組織全体を動かしている」くらいの意識を持ってほしいと伝えています。