接点情報が可能にする、営業活動の高度化とは
中島氏のいう接点情報、人脈とは何か。この点は非常にシンプルで「顧客とやりとりしたすべての情報」だ。もっともわかりやすいのは、名刺など直接接触した顧客の人物情報だろう。あるいは、直接会ったことがなくても、資料のダウンロードやイベント参加などで得たリード、はたまた人事異動に関するものも該当する。
「中でも人物の情報は、商談を進めるうえでとくに重要です。システム化が進む法人営業とは言え、やはり人と人がコミュニケーションをするものです。あくまで一例ですが、『同じ高校を卒業した』といった情報があるだけで、受注率に影響することもあるでしょう」(中島氏)
こうした接点情報は一般的に、日々の営業活動でどんどんと社内に蓄積されていくものだが、一方でしっかりと活用できる状態になっていない企業も多い。受注経験がある企業や決裁者のステータス、契約の内容などがデータベース上にあるにもかかわらず、それらが点在するだけで、現場ではキャッチアップできていないケースもあるだろう。
「これらの情報を、きちんと整理して使える状態にするだけで、アプローチできる“幅”、商談の武器が非常に多くなります。幅が広がるということは、顧客との関係性を急激に近づけるチャンスであり、もっと直接的に言えば受注にもつながるようになるのです」(中島氏)
こうした考えのもとで展開しているサービスがSansanだ。同社のCMを目にしたことがある人も多いだろう。SansanのCMでは、顧客のキーパーソンと初対面だと思いきや、実は過去に社内に顧客の名刺情報があり、もっと早く知りたかった、知っておけばもっと効果的な営業活動ができた──といった内容がコミカルに描かれている。
「名刺情報に加え、メールやウェブサイトでの問い合わせ情報も集約できるようになり、オンラインとオフラインを問わず接点情報を蓄積するデータベースとして、Sansanは多くの企業に活用いただいています。そうした情報を一元管理できることで、キーパーソンの人事異動にいち早く気がつけたり、過去の商談を参照しながら新たな商談ストーリーを組み立てたりと、さまざまな活用方法が広がっています」(中島氏)