アジア初のエリートパートナーが語る
新規事業の強い味方「HubSpot」
──はじめにHubSpotの特徴と、期待できる効果について教えてください。
HubSpotの機能は非常に多岐におよびます。あえて言うなら、顧客接点データを蓄積するCRMカテゴリーに分類できるでしょう。マーケティング/セールス/カスタマーサポートと、バイヤージャーニーに沿った機能をオールインワンで提供する点が大きな特徴ですね。
ポイントソリューションで同等の網羅性を担保する場合、複数のツールを導入・連携する必要があり、整合性やコスト面で課題が生じます。しかしHubSpotなら、搭載されている機能を順番に正しく使いこなせば、一貫したサービス提供環境を迅速に構築できるのです。
とくに新規事業の立ち上げにおいては、マーケティング/セールス/カスタマーサポートのすべてのサービスを提供する環境をいち早く構築しなければいけません。そのためのフレームワークとして、HubSpotは非常に有効なツールと言えるでしょう。
──100は2019年からHubSpotのエキスパート集団として活動を開始し、2023年にはアジア初のエリートパートナーに認定されています。貴社の強みを教えてください。
HubSpot社のパートナー制度には、導入・活用を支援する「ソリューションパートナー」と、自社の製品・サービスとHubSpotを連携させる「アプリパートナー」があり、ソリューションパートナーの最上位ランクがエリートです。世界6,500~7,000社のパートナーのうち約50社が認定されており、そのうち、アジアで唯一エリートに認定されているのが我々100です。
エリートパートナーの特徴は、第一に実績の多さですね。ダイヤモンドパートナーの約3倍の企業を支援しています。当社でも、顧客のさまざまな業務フローや顧客データ管理へ対応を重ねる中で「型」をつくり上げ、スピード感ある支援を行っています。
というのも、SaaSにはシステムごとの癖があり、仕様書と実際の動作が異なることも珍しくありません。加えてHubSpotは、顧客が使いやすいかたちに随時変更していくという基本姿勢により、アップデート頻度が多いのです。その変更は「購買行動の変化に合わせて機能も変えたい」「HubSpotをこのように活用してほしい」という“哲学”に基づいています。
HubSpot社の哲学と企業によって異なるビジネスモデルを理解したうえで、UIの変更など細かな変更までキャッチアップできる企業は多くありません。その中で100では、HubSpot Japanの立ち上げ期から導入・活用支援に携わってきた私個人の経験も踏まえ、HubSpot社の哲学に対する深い理解のもと顧客を支援しています。ほかにもGlobal Hub Allianceの一員として世界トップ6のパートナー企業と勉強会や共同プロジェクトを進めるなど、アメリカ本社を始めとする強固なグローバルネットワークも当社の強みと言えるでしょう。
豊富な対応実績に基づくナレッジとHubSpot社の哲学への理解。このふたつを有する当社だからこそ、顧客のビジネスモデルを問わず、課題の特定と未来予測を実現できるのです。
多くの企業が「もったいない状況」に
HubSpot活用の壁に100はどう応える
──多くの企業を支援する中で、課題に感じていることはありますか。
HubSpotの真価はバイヤージャーニーに沿ったサービス提供環境を構築すること。その目的に合わせて使うべき機能があります。しかし多くの企業が、機能を活用し切れず「もったいない状況」に陥っているのです。
たとえばランディングページを制作するとしましょう。HubSpotはバナーやポップアップなどのCTA(Call To Action)を作成する機能があり、CRMのデータを活用してパーソナライズしたコンテンツを出し分けることもできます。こうしたHubSpotの機能とマーケティングに対する知見を有していないと、単に画像を置いてバナーやポップアップを作成してしまう。一見問題ないようでいて、HubSpotを十分に活かし切れないページが完成してしまうのです。
HubSpotの哲学と機能、そしてマーケティング/セールス/カスタマーサポートのビジネス領域、両方を熟知していないと、HubSpotを最大限に活用できません。重複してほかのツールも契約するなどもったいない状態に陥ってしまいます。パートナーから支援を受けている場合でも、このような壁に直面している企業は多いですね。
──それらの課題に対して、100はどのように応えているのでしょうか。
ひとつが当社の組織体制にあります。当社は制作・開発を担うプロダクション事業部と、導入支援やコンサルティングを担うオペレーション事業部の2事業部制を採用しています。これにより、開発から活用支援まで、特定の領域に特化せずバイヤージャーニー全体にわたる支援をワンストップで提供できるのです。
さらに当社は、これまで200社~300社ほど、私個人の実績も含めるとその1.5倍から2倍の企業の導入・活用支援を行ってきました。大学などの教育機関から不動産系の大手企業まで、BtoB、BtoCを問わず幅広い業界での実績に基づき、業界特性を踏まえた「HubSpot活用の近道」を提供できます。
たとえばBtoB企業のABM戦略では、拠点単位でのデータの取得や名寄せが鍵となります。一方、教育機関では「意思決定者:保護者、サービス提供者:子ども」といった親子の関係性や兄弟関係を踏まえてデータベースを設計することが重要となるでしょう。多種多様な業界知見は、多くの企業を支援してきたエリートパートナーならではの強みと言えますね。
加えて、顧客がHubSpotの利用を開始できるまでのスピードも重視しています。ウェブサイトのテンプレートや各業種に必要なプロパティを自動で設定するシステムを構築したことで、アウトプットを提供するまでのプロセスを大幅に効率化しました。
──幅広い企業を支援する中でも、大企業が横断的に全社導入するケースは少ないとうかがいました。
そもそも、そうしたユースケースはHubSpotの哲学とマッチしないのです。HubSpotは全体最適化やマネジメントのためではなく、現場での顧客体験を最適化して顧客エンゲージメントを高めるためのツールです。複数の部署がそれぞれの目的に合わせて使用してしまうと、管理コストが非常に高くなるでしょう。だからと言って使い方にルールを設けると、現場の担当者が本来やりたいことができなくなってしまうのです。
とはいえ、現場での活用を進めると必然的に顧客接点データが蓄積されますから、マネジメント層が顧客エンゲージメントを把握する際にも役立つのは間違いありません。最近では企業と顧客の接点最適化はHubSpotで行い、Salesforceなどの統合データベースに連携させて一元管理するケースが増えていますね。
パートナーと共にHubSpotを導入する
メリットと判断基準
──HubSpot社に直接HubSpotの導入を依頼する選択肢もある中、貴社のようなパートナーと共にHubSpotの導入を進めることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
HubSpot社は導入・活用のレクチャーを行いますが、実際に手を動かすのは顧客企業です。一方、パートナーは設計・開発や活用まで伴走支援します。リソースがあるなら、HubSpot社へ直接依頼してレクチャーを受け、自社で進めるのもひとつの手でしょう。そのうえで、パートナーと導入を進めるかどうか判断する3つのポイントを解説します。
ひとつは「リソース」の問題。担当者がいない、またはリソースが不足している場合はパートナーへアウトソースすべきです。ふたつめは「開発環境」の問題。ウェブ制作やツール連携、UIの開発など、いちから仕様を把握するのは時間がかかります。とくにスピード感が求められる新規事業では、専門知識を持つパートナーと効率的に開発環境を構築するのが良いでしょう。
そして3つめが「業務フローへの落とし込み」です。たとえばSFAのダッシュボードを作成する際、その目的は新しいツールをつくることではなく、データを活用して業績に貢献することですね。営業会議でダッシュボードの入力状況を確認するなど、ツールを日々の業務フローへ落とし込まなくてはいけません。自社だけでは難しい場合、多くの成功事例や支援実績を持つパートナーへ依頼するのが望ましいでしょう。
これらのポイントに加え、100の場合は内製化も支援しています。当社のノウハウをまとめた書籍『HubSpot大百科』(リスナーズ出版社)を用いた教育や、Slackによるサポート・迅速な開発など、企業ごとのビジネスモデルに即したアドバイスが可能です。その観点でも、パートナーへ依頼するかどうか判断していただくと良いですね。
──貴社の今後のチャレンジについて教えてください。
顧客がDXを進めるためのひとつのツールとしてHubSpotは非常に有益です。広く活用してもらうための取り組みとして、引き続き「型」化を進めていきたいですね。Global Hub Allianceを活かして、日本から海外へ、海外から日本へと営業DXを進める企業も支援していきたいと思います。
また100とHubSpot社主催のユーザーコミュニティ「Japan HUG」のように、コミュニティドリブンな事業展開も目指しています。現在HubSpotを導入しているか否かにかかわらず、HubSpot社が持つ「顧客志向」の哲学を広めていきたいですね。
──最後に、事業を牽引するリーダーたちへメッセージをお願いします。
HubSpot社の哲学に触れ、機能を活用することで、事業成長を早めることができます。企業と顧客のエンゲージメントを高めてフリクションレスな環境を実現するため、業務のフレームワークとしてシステムを導入していただくと良いでしょう。
一方、HubSpotの機能を活用し切れず、コストや時間が二重にかかってしまうケースも少なくありません。最初からHubSpotの哲学とビジネスへの知見を基に要件定義していれば解決できただろうと思うケースも多々あります。
現状のまま自社の目的が達成できるかどうか迷った際、その判断を我々がお手伝いします。「セカンドオピニオン」でも構いませんから、気軽に声をかけてください。
──本日はありがとうございました!