アプローチ開始から1週間で1,000万円を受注できた理由
──トップセールスのノウハウを標準化するという点では、ナレッジマネジメントやリスト作成など、すでにさまざまな手法・ツールがあります。それらと比較して「Sales Marker」は何が異なるのでしょうか。
最適な勝ちパターンを特定し、あらゆる営業が再現できる状態に落とし込むという点では、ナレッジマネジメントを行えるセールス・イネーブルメント系のツールと共通する部分があります。しかし、それらのツールと「Sales Marker」はデータの種類と量において一線を画しています。セールス・イネーブルメントでは、社内の属人化したナレッジをデータ化し再現性を高めることを目指しますが、「Sales Marker」は、社内のデータに加え、ウェブ上の顧客行動という社外のデータも対象としています。1日約50億レコードのサードパーティデータから実際に市場で起きている現象を分析することで、これまで行ってきた社内の営業活動の延長ではなく、より最適なターゲティングやアクションを導き出すのです。
企業データベースともよく比較されますが、大きくふたつの点が異なります。ひとつは、買い手目線のデータを集められること。従来の企業データベースでは、従業員数や売上などの情報を基に、営業が売り手目線でセグメントやターゲティングを行うことになります。一方、「Sales Marker」ではウェブ検索に基づくインテントデータ(興味関心データ)からニーズを把握し、提案のタイミングや訴求ポイントを買い手目線で最適化することができます。
もうひとつは、ツール上でアプローチまで実現できることです。データベース系のツールは、アプローチする企業のリスト作成がゴールになりがちです。しかし、本来のゴールは売上を上げること。そのためにはやはりアプローチが重要ですよね。マルチチャネルで最適なアプローチを実施できるのも「Sales Marker」の特徴です。
さらに「Sales Marker」には生成AIが搭載されているため、学習を重ねることで「●●という企業に、~~という内容でメールをしてみましょう」と、最適なタイミングでのアプローチをレコメンドすることもできます。これにより、あらゆる営業が同じように成果を出す「アクションの最適化」が期待できます。顧客のニーズに合わせてAIがメールの内容を書き換えるなど、顧客起点で最適化されたマルチメッセージでのアプローチを行うことができるのも、成果につながる特徴のひとつだと思っています。
──「Sales Marker」を活用することで、数十人規模の企業が大手企業からの成約を獲得している事例もあるそうですね。具体的な活用事例や成果について教えていただけますか。
たとえば、あるウェブ制作系の企業では、「Sales Marker」を活用してターゲティングとアプローチを行った結果、アプローチ開始からたった3日で商談を獲得し、1週間後には1,000万規模の案件を受注しました。
──成約の可能性が上がるだけでなく、顧客の検討期間も短縮したんですね。
アプローチした際、顧客から「今まさに、依頼する企業を検討していたタイミングでした」と言われたそうです。
顧客が購買を検討する過程では、社内で起こっている課題を自覚する課題認知フェーズ、それらの課題を解決する手段やツールを探す解決策探索フェーズ、実際に導入するサービスやツールを決定する比較検討フェーズという3つのステップがあります。ツールを導入すること自体はすでに決定している「比較検討フェーズ」でアプローチできると、結果的にリードタイムは短くなりますね。「Sales Marker」は社内外のデータを活用することで、ブラックボックス化していた顧客の検討プロセスと現状のフェーズを可視化しました。
また、意思決定を行うのは“人”ですから、ニーズがある企業を特定するだけでなく、キーパーソンを探してアプローチする必要があります。これも「Sales Marker」上で実現できることで、適切なタイミングで適切な人物にアプローチできた結果、受注につながる「いい商談」が増え、成約やリードタイムの短縮につながったのでしょう。
「Sales Marker」の設定さえしてしまえば、営業経験がない人でもターゲティングからアプローチまで行うことができます。実際に、営業担当がいない少数精鋭の企業で週2、3時間「Sales Marker」の設定を行うだけで、数千万規模の大手企業の案件を受注している事例もあります。新規商談をつくるインサイドセールスを設けていない企業が、「Sales Marker」によって数多くの商談や売上を獲得しているのはユニークな点だと思います。