営業に「顧客視点」が必要なワケ
──書籍『インテントセールス 米国企業の6割が実践する興味関心[インテント]データを活用して売上を伸ばし続けるための最先端モデル』のインタビューにおいて、向井さんは「顧客視点」の営業に求められる考え方についてお話しされています。改めて、なぜ営業には顧客視点が重要なのでしょうか。
向井(ウェルディレクション) 大前提として商売には売り手と買い手が存在するため、売り手が「買い手が何をもって購買するのか」を知らずして、良いコミュニケーションと良い商売のプロセスは設計できません。売り手には「そもそもなぜ顧客は購買するのか」という問いを立てて欲しいんです。
とくにBtoBにおいては、売ること/買うことを目的にした購買活動は原則ありえないんですよ。なぜなら法人、とくに営利企業は「利益を出すことで社会に貢献する」という経済合理性を追求する組織体だからです。「継続的に利益を出す」という目的を達成するにあたり、自社のアセットだけでは足りない場合、外部から課題解決の方法を購買します。つまり、顧客にとって「買うこと」は手段であり、目的ではないんです。
そのため、営業も「売ること」を目的にしてはいけません。売ることを目的とした活動を私は「販売活動」と呼んでいます。売ることはあくまで手段であり、目的はお客様の問題を解決すること。そのために行うすべての活動を「営業活動」ととらえてほしいんです。
小笠原(Sales Marker) 顧客の問題解決を軸に据えることで、単なる販売活動ではなく、真の意味での営業活動ができるようになるということですね。
向井 そうです。お客様と問題や目的を共有し、自社の商品が問題解決に役立つと合理的に説明できる状態になったとき、初めて売る。このような構造でビジネスを行う必要があるから、営業には「顧客視点」が重要となるのです。
──Sales Markerが提唱するインテントセールスは、向井さんがおっしゃる「営業活動」を実現できると理解して良いでしょうか?
小笠原 そのとおりです。インテントセールスでは、営業が売りたいものを売りたいときに売るのではなく、顧客が必要とするものを顧客のタイミングで提案します。まさに、顧客視点を持った営業による、顧客を起点とした「営業活動」と言えるでしょう。
──「顧客視点」を持った営業による「顧客起点」とおっしゃいましたが、そのふたつの違いをうかがえますでしょうか。
小笠原 顧客視点は、顧客の立場に立ってみて、顧客が何を求めているのか、どのような問題に直面しているのかを仮説立て、それに基づいて提案を行います。一方、顧客起点は、インテントデータなどを取得することで可視化できる「顧客が実際に起こしている行動」を基に、顧客が実際に必要としているものを提供するアプローチです。
これは「インテントセールス」というものです。顧客を起点とした営業活動、つまりインテントセールスとは、実は、ビジネス全体の活動や戦略を「実際の顧客のインテント(購買意図をともなう行動)」を中心に設計し、顧客の価値を最大化することで自社・顧客両方の事業を持続的に成長させていく新たなビジネスの仕組みです。
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インテントセールス
米国企業の6割が実践する興味関心[インテント]データを活用して売上を伸ばし続けるための最先端モデル
著者:小笠原羽恭
発売日:2024年8月29日(木)
定価:1,980円(本体1,800円+税10%)