マーケティングとセールスを一気通貫に 国内変革の予感
国内のSales Techについて、中谷氏は「日本のカオスマップには空白が多い」と指摘する。今回カオスマップにSales Markerを掲載したことに対し、「これまで、Zoominfoは日本で実現できるのだろうかという疑問があった。Sales Markerの登場により、マーケティングからセールスを一気通貫でつなぐという点で、日本に革命が起きるのではないか」と、中谷氏は今後の展望を語った。
最後に荻原氏は、今後国内では何を意識してセールスに取り組んでいくべきか登壇者へたずねた。鈴木氏は「自社の戦略を考える際、海外のSales Techのホワイトペーパーは非常に勉強になる。たとえば前職でプロダクトを開発した際も、Outreachのホワイトペーパーから着想を得た。まずは日常的にホワイトペーパーをダウンロードしてみるなど、できる範囲からやっていくことが大切」と語った。
小笠原氏は、自身のコンサルティングファームでの経験から、DXが進まない理由として、(1)データを取得していない、(2)集めたデータを分析していない、(3)社内のデータがサイロ化しているなど、多くの企業でデータ活用が課題になっていると指摘する。「今後、データを活用してセールスに取り組む企業が増えることが楽しみ」と、より活発なデータ活用を推奨した。
中谷氏は「とにかく変化が多い時代、学ぶことで時代にあわせて自分を変化させていかなければいけない。我々のようなSales Techベンダーは、ツールを利用する企業に対しては大きな価値を提供できる一方で、アナログ営業に対する強力なライバルにもなり得る。一緒に新しい時代、新しい技術にチャレンジして、営業価値を高めていければと願っている」と、ともに成長する未来に期待を寄せた。
部門最適から全体最適へ ビジネス・イネーブルメントの重要性
「BtoBマーケティングのトレンドとインテントデータの可能性」では、BtoBマーケティングにおける戦略策定について、小笠原氏とsuswork 田岡凌氏が登壇した。
田岡氏は、「BtoBのすべての商材は顧客の課題を解決するために存在している」という原点を踏まえ、BtoBのマーケティング戦略の策定では、リード獲得や商談獲得といった顧客接点最大化のみならず「課題啓蒙」と「信頼醸成」が重要だと指摘する。
多くの顧客は自社の課題に気づいていない場合が多い。そのため、まずは顧客の潜在的な課題を可視化して、ともに解決策を見つけ出すことが必要となる。さらに、提供する解決策が顧客にとって真に有益であることをリアリティをもって伝えることで信頼感を醸成し、意思決定に反映させていく。課題啓蒙と信頼醸成を実施したうえで、まさに顧客が課題に直面するタイミングでの接点を最大化するという設計が重要だと田岡氏は解説した。
「課題啓蒙」と「信頼醸成」の重要性を踏まえたうえで、今後注目するべきBtoBマーケティングの施策として、田岡氏は3つの施策を挙げた。
ひとつめは「BtoBブランディング」だ。単に認知を高めるだけでなく、認知からカスタマーサクセスのプロセスに至るまで、すべてのビジネスファネルで継続的に顧客の課題を啓蒙して信頼を獲得し続けるブランディングが重要になると田岡氏は語る。
ふたつめが、「インテントデータの活用」である。接点を持ちにくい“ニーズが顕在化している新規顧客”との接点獲得において、インテントデータを用いたアプローチが鍵になると示唆した。
最後に、田岡氏は「ビジネス・イネーブルメント」について言及した。マーケティングやセールスなど各部門で最適化したIT活用やKPIが、ビジネス全体で考えたとき必ずしも最適とは限らない。インテントデータ活用を進める中でも、部門最適から全体最適へ視点を転換した人材の育成が重要になると田岡氏は語った。
小笠原氏も、「リード獲得をKPIに設定したが商談化しない、ツールを導入したが使いこなせないという事例もよくある」と、ビジネス・イネーブルメントの重要性に同意した。
セッションの最後に、BtoBマーケティングにおけるインテントデータの活用について解説があった。田岡氏は、「新規顕在顧客の獲得において、デジタル広告・ナーチャリング・アウトバウンドの商談獲得・リサイクル商談の獲得・カスタマーサクセスと、非常に広い範囲で活用されていくだろう」と語る。ビジネス全体最適でインテントデータを活用することを前提に、今フォーカスするべきエリアを考えることが重要だと指摘した。
さらに、戦略マーケターの視点から「インテントマーケティング・インテントセールスは、ABMに変わる次世代のセールスマーケティング手法になるだろう」と田岡氏は示唆した。
「これまでデモグラフィックにしか取得できなかったデータが、ニーズドリブンに変わっていくでしょう。本当に接点を持ちたかった企業と接点を持てるようになるという意味で、BtoBマーケティングの次世代を担うものになっていくと確信しています」(田岡氏)
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