営業リーダーは「How」も評価せよ
一方の営業部門においては、3つの指標を「What」と「How」に分類した上で担当者を評価しているという。売上(What)を成果指標としつつ、その売上をどうやって作ったか(How)も同じくらい重視する考え方だ。
たとえば「継続的な関係を構築できる顧客の開拓」というミッションを達成するために「成功事例の創出数」というWhatを設定する。創出数が少ない担当者に対しては、リーダーが成功事例化に至らなかった要因を一緒に探りながらノウハウを伝える。このようにしてWhatとHowのサイクルを回し、達成までのプロセスを重視するスタイルがGainsight流の評価制度だという。
Gainsightのカスタマーサクセスと営業はそれぞれの評価制度を持ちながら、成果指標・先行指標・活動指標という考え方のベースを共有している。和久井氏は「ひとつでも同じ指標を持つことで、それを目指すためのコミュニケーションが両者間に生まれ、連携しやすくなる」と話す。
ここまで評価制度や組織体制のポイントを紹介してきたが「最終的にはふたつの組織の信頼関係が鍵になる」と絹村氏。カスタマーサクセス部門の人数は、営業部門の人数と比べて少ないケースがほとんどだ。仮にカスタマーサクセスの担当者が10名で、営業担当者が100名いるのであれば、1名と10名を丁寧にマッチングしながら信頼関係が生まれる土壌を作るのがトップの仕事だという。「信頼関係さえできれば、現場の担当者がお互いに納得できる役割分担を自然と考え出すものです」(絹村氏)
商談時の連携で顧客に成果イメージを見せる
絹村氏と和久井氏は、営業とカスタマーサクセスが連携することによって生まれるメリットを、商談前・商談中・商談後のフェーズごとに、それぞれの視点から語った。
和久井氏は「提案時にどのようなコミュニケーションがあったのかを把握できれば、受注後にスムーズな対応ができる」と語る。たとえば商談中に「今できること」と「将来的にしかできないこと」を伝えて顧客の期待値が調整できていれば、その後のプロジェクトをより安全に進められるという。
商談後はカスタマーサクセスとして、自社の全製品を頭に浮かべながら顧客と会話を重ねているそうだ。会話の中でアップセル・クロスセルの機会を創出できた場合、営業担当者と連携すれば受注につなげることができる。
一方、絹村氏は営業視点で次のように語る。
「さまざまなお客様の成功を支援するカスタマーサクセスは、自社製品が持つ価値を数多く把握しています。商談前にカスタマーサクセスが持つ豊富な“引き出し”の力を借りれば、良い提案を作ることができます。商談中のお客様は、製品の機能や特徴ではなく、成果に至るまでのプロセスを知りたいはずです。そこで、商談の最後にカスタマーサクセスの担当者を紹介して『この人が成功に導きます』とはっきり伝える。そうすれば、クロージングにも効果的です」(絹村氏)
Gainsightでは、営業とカスタマーサクセスの連携をスムーズにするカスタマーサクセスプラットフォームを提供している。必要なデータを統合・可視化し、マーケティングやカスタマーサポートを含むすべての役割に対してアクションを促すプラットフォームだ。
カスタマーサクセスが成功を積み上げることで顧客の中にファンが生まれ、ファンが新たな顧客を呼ぶ。絹村氏は「営業主導で新規顧客を獲得しながら成長していくこれまでのやり方に、カスタマーサクセスという新たな軸を追加することで、組織の持続的な成長モデルができる」と述べ、セッションを締め括った。
世界トップシェアのカスタマーサクセスプラットフォーム「Gainsight」
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