エンジニアから営業へ、BtoCからBtoBへ
──金型エンジニアから営業職へジョブチェンジされた背景を教えてください。
前職は大きい会社だったこともあり、会社に属していることで対価を得ている感覚がありました。今後のキャリアを考えたときに「自分で稼いでいる実感を得たい」と思ったんです。そこで人生でいちばん高い買い物である“家”を販売する営業が、自分で稼いでいることをいちばん実感できるだろうと考え、不動産営業のキャリアをスタートしたんです。
不動産業界は反響営業が多いのですが、最初に関わった会社では“源泉営業”を行っていました。タウンページを見て、不動産を持っているかどうかもわからない個人に「この地域で不動産を売りませんか」と電話するBtoC営業です。研修の3ヵ月間ひたすら電話をかけ続けましたが、まったく売れませんでした。
「まずはほかのサービスで、売れる感覚を得よう」ということで、お世話になっていた方の紹介で研修先として放り込まれたのがイクラでした。ここで売れなかったらもう終わりだと、本当にいちから始める覚悟でしたね。
BtoC営業に比べて、イクラでのBtoB営業はとても楽に感じました。タウンページを見ながら個人に電話していたときは基本的に話を聞いてもらえず、とてもきつかった。この経験があったおかげで「不動産会社の社長はみんな話を聞いてくれるし、こんなに幸せなことはない」と思えたんです。ひたすら電話していたら、初月で既存社員の成績を抜きました。そのまま成績をキープして研修期間を終え、リスト整理や引っ越し作業といった業務を率先して手伝ったことも評価されてオファーをもらい、正式にイクラへ入社しました。
──イクラのビジネスモデルと営業組織の特徴はどのようなものでしょうか。
かんたんに言うと“売主と不動産会社の仲介”です。売主情報を集めて、売主を不動産会社に紹介する。成約したら不動産会社から報酬をもらうというビジネスモデルです。
売主にとっては、ブラックボックス化していた不動産会社の情報や成約実績などが見える化されますし、不動産会社にとっては、本当に売る気がある方を紹介され、成約したときだけ報酬が発生する点がメリットです。
営業組織が不動産会社にアプローチして加盟してもらい、不動産会社のリストを構築することで売主にサービスの利用を検討してもらえるようになります。つまり、ビジネスモデルの起点を営業組織が担っているかたちですね。
──なかなか売れなかったBtoC時代からイクラで成績トップになるまで、工夫したことや印象的なエピソードはありますか。
アポ率や商談成功率など自分の弱点を分析して、日報としてウェブ上に公開していました。もともとエンジニアということもあって、数字の分析が好きなんです。売れなかった時代から毎日続けていたため、イクラでBtoB営業を始めたときにはアポ率が何十倍にもなったことが数字で表れて、こんなに話を聞いてもらえるんだという喜びがありましたね。