効率的な働き方が浸透する時代こそ「心」を伝えよう
「AIに仕事が奪われる」と言われるようになって久しくなりました。2014年、英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授らによって発表された研究報告書『THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?』では、「20年後までに人類の仕事の約50%が人工知能ないしは機械によって代替され消滅する」という予測が立てられました。
また2020年5月に公表されたマッキンゼー・アンド・カンパニーが行った調査では、「2030年までに日本中の業務の27%が自動化され、約1,660万人の雇用が機械に代替される可能性がある」と指摘されています。もちろん、スピードや正確性が求められる業務であれば人間よりもAIのほうが優れていることはあるかもしれませんが、忘れてはいけないのが「人は『心』によって動かされる」ということです。
IT技術の進歩によって私たちの生活や働き方もどんどん便利になってきています。たとえば、私の新入社員時代は「会議室の鍵を開ける」ことも大切な業務のひとつでした。会議が始まる前に受付に行き、名簿に名前を記載して鍵を受けとり、会議が終わるとその鍵を受付に返しに行く……一連の流れを日々こなしていました。
現在は、わざわざ新入社員が鍵の開閉をしなくとも社員証ひとつでかんたんに会議室の鍵の開錠ができ、会議室の受付にわざわざ人がいなくてもシステムに入力したらそのまま予約データが反映されています。圧倒的に効率も高まり、人件費も削減できる。ニューノーマル時代の働き方、より一層スマートになってきているといっても良いでしょう。
一方、先ほどの「新入社員時代の会議室の開閉」について私にはある思い出があります。会議が続くと鍵の授受で忙しくなり、せわしなく動いていた新米秘書の私に「頑張ってるね、お疲れ様」と受付の方が声をかけてくださったことがありました。右も左もわからず不安だらけだった当時の私がそのひと言にどれだけ救われたか、今でもはっきり覚えています。
はき違えてはいけないのが、どんなに業務が効率的になったとしても、「心を伝えることは忘れてはいけない」ということです。リモートワークも主流となり、コミュニケーションが希薄になりがちな時代だからこそ、「心」を伝えることが、ビジネス上でも選ばれるポイントとなるでしょう。今回はニューノーマル時代だからこそ大切にしたいヒューマンスキルについてお伝えします。