組織の名前を変えて「自分ごと化」につなげる
前編「セールスが本業に専念できれば、圧倒的に成果は上がる!3社が語る『オペレーション』現場の今」も公開中。後編からでもお楽しみいただけます!
土井(HubSpot/モデレーター) 「オペレーション関連業務の中で思い入れがあること」「業務での学び」について教えてください。事前打ち合わせの場で、岡崎さんからは「オペレーションチームの名前を大切にしてきた」エピソードをうかがいました。詳しくうかがえますか。
岡崎(ユーザベース) 今でこそセールスオペレーションという名称ですが、私がユーザベースに入社した2019年の段階では、「セールスサポートエンカレッジメント」と呼ばれていました。サポートする業務も担っているものの、組織名に「サポート」が含まれる部門に所属することでメンバー自身に「自分たちはセールスの"サポート"なのだ」という感覚が刷り込まれてしまっている様子を感じることがありました。セールスのアシスタントのような役回りを担うこともありますが、それは決してメインの業務ではありません。オペレーションを担うひとつの独立した組織であることを中からも外からも認識してもらうべく、名前を変えた経緯があります。
土井 チームの名前も自己認識に非常に大きな影響を与えますよね。当初のセールスサポートから「オペレーション」という名称に変更されたことにより、岡崎さんのチームの中で日々の業務に対するマインドの変化は現れましたか?
岡崎 メンバーのマインドは間違いなく変わりましたね。かつては「自分たちはサポート職種だから……」と謙遜していたメンバーたちですが、名称変更以降は何においても「自分ごと化」するようになりました。名前を変える前と後ではまったく違うチームのようです。
一般的に「セールス」と言えば「モノを売る仕事」と容易にイメージがつきますが、一方で「オペレーション」には誰もが思い浮かべるような言葉は定まっていません。名前が変わり当事者意識が芽生えたことで、「私たちが業務を通じて『その言葉』を探していこう!」という想いをいっそう強く共有するようになりました。
土井 ありがとうございます。ちなみに、御社ではオペレーション部門とセールス部門が、組織としてそれぞれ独立している点も事前の打ち合わせの中で気になりました。
岡崎 ガバナンスの観点もありますが、締結する契約が健全であることを担保することも我々にとっての重要なアクションのひとつです。セールスと同じ組織に属してしまうと、契約回りの業務に取り組む際に配慮・忖度の感情が生まれてしまう恐れがあります。それらに悩まされずにそれぞれがやるべき仕事に専念するべく、別組織として位置づけられています。
土井 ありがとうございます。工藤さんにもお話をお聞きしたいです。御社では、直近でオペレーション領域における組織変更が行われたとうかがっています。
工藤(SmartHR) 我々はSalesOpsチームとしてスタートしました。当時のメイン業務はCRMの構築で、営業部門からはSales Techツールの運用を担う「ツールの便利屋さん」として認識されており、「レポートダッシュボードを共につくり上げていく一体感の醸成」がなかなか難しかったのです。
そこで、状況を打開するべく、「セールスプランニング」に名称を変更し、「我々はオペレーションもイネーブルメントも取り組む組織です」と、社内の位置づけから採用のメッセージまでを変えていきました。立ち上げ期は、自分たちの組織が営業部隊からどう見られているかという視点の重要性を実感しましたね。