「7秒」を制す者は商談を制す
「人は相手を第一印象で判断する傾向がある」――みなさんは「初頭効果」という理論をご存知でしょうか? 1946年にポーランド出身の心理学者ソロモン・アッシュによって提唱された心理効果です。
また、アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」によると、初対面の際、人は7秒で相手を判断し、抱いた印象は半年間持続するとも言われています。つまり、営業パーソンが初回アポの最初の7秒間で「信頼できる自分」を相手に伝えることができれば、成果が上がりやすい状態になるということです。オンライン商談が普及した昨今は、この7秒の質を高め、自分の魅力的なパーソナリティを効果的に伝える――「自己プロデュース力」の有無で成果が変わってくることをお伝えしたいです。
営業組織に向けた講演会や研修の提供をしている私は、約1,000名を超える営業パーソンの方々にお会いしてきました。「メラビアンの法則」に則り、「自身が発する言葉」から「見た目」までを意識的につくり上げている人は非常に稀で、冒頭に述べた「7秒」を意識している人に関してはほぼゼロに等しいです。
それに対して、エグゼクティブ層の方々にお会いするとほぼ全員が意識的に自己プロデュースに取り組んでいます。一例ですが、私が長らくお世話になっている外資系コンサルティングファームの元パートナーの方は26歳から現在に至るまで、25年間帝国ホテルに通っています。理由を尋ねると、「日々、企業の役員以上の役職の方々と接するうえで、『一流』を知るため」と語っていました。このほかにも、彼は相手に「親しみやすく」「明るい」印象を抱いてもらうべく、挨拶するときは笑顔を絶やさないのはもちろんのこと、ネクタイからリュック、ペン、ノート、携帯ケースに至るまで、すべてをオレンジ色で統一していました。
対面でのコミュニケーション機会が減少し、競合との差別化が難化している時代だからこそ、このような自己プロデュースを通して「選ばれる営業パーソン」になることが重要になります。画面を隔てた商談ではパーソナリティまでを伝えることは非常に難しく、なかなかお客様の記憶にも残りません。そうなると、成果を出すことはおろか、再度アポの機会を獲得することも難しいでしょう。
本稿では、商談相手に対して自分の印象を残し、成果を上げるためにはどのような自己プロデュースをするべきなのかをご紹介します。あなたが理想とする「自己プロデュース像」を思い浮かべながら読み進めてみてください。