NTTコミュニケーションズが挑む「ハイパフォーマー」の拡張分析
宮田 たとえば、どのような取り組みでしょうか?
徳田氏 営業のノウハウを体系化するため、好成績を収めるハイパフォーマーにインタビューして情報を収集・分析しています。その結果、営業アドバイザー機能による拡張分析(Augmented Analytics)の実現を目指しています。
実際に分析してみると、想定外の結果が出てきます。そのうちのひとつをご紹介します。人の感情に寄り添う人情系タイプのハイパフォーマーと、数字で詰めていく冷静沈着タイプのハイパフォーマーがいたとします。営業の手法としてはまったく違う2タイプですが、同じ行動をとっている部分があったんです。
宮田 タイプは違う営業担当者の手法に共通点がある。これは、気になりますね。
徳田氏 具体的には、2タイプとも最初のお客さまとの面談では「手ぶら」でいくことがわかりました。相手の課題を傾聴するために、あえてそうしているようです。ヒアリングのないまま、資料をつくるとなると、どうしても自分の思い込みや決めつけが入ってしまう。だからあえて「手ぶら」でいき、話を聞くことに専念するようなのですね。こうした行動のデータを分析し、他の営業職の人間が「自分もやってみよう」となれば、小さな成功体験が1人ひとりに確実に蓄積されていくのではないでしょうか。
宮田 ハイパフォーマーのインタビュー結果や行動データをもとに、それぞれの営業職の人へアドバイスをする。これが自動化できると、新人もベテランも参考になりますね。
徳田氏 パターンをAIの機械学習で分析しています。まだ外れることも多いですが、徐々に精度はあがっていくでしょう。社内の営業300人くらいでPoC(実証実験)をしているのですが、9割の社員が有用だと答えてくれました。
宮田 営業という人の力が特に重要視される領域で、ハイパフォーマーである先人たちのデータが蓄積され、それをベースにアドバイスが行われ、結果として新しいハイパフォーマーを生み出す。そしてそのデータもまた組み込まれて進化する。これは面白いですね。