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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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企業の競争力を高める「営業DX」とは? 日本の営業組織の未来を探る powered by SalesZine

2024年4月18日(木)14:00~15:30

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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SalesZine Day 2021 Winter(AD)

インサイドセールスの本質は顧客データ基盤の構築と活用 Sansanが自社事例を公開

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 企業にとって営業の効率化と生産性向上は常に大きな課題だ。営業組織を支援するテクノロジーが浸透し始めるなかで、電話やオンライン商談システムを活用する「インサイドセールス」が注目されているが、その土台となる「データの管理および活用」ができている企業は決して多いとはいえないようだ。どのようなデータをどう取り込み、分析すれば、自社の営業効率と生産性を高めることができるのか。「SalesZine Day 2021 Winter」にて、Sansan日根野正己氏が、自社の事例とともに顧客データの管理・活用術について語った。

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営業活動のオンラインシフトでインサイドセールスの役割はより重要に

 新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年、国内景気は急速に悪化し、1年後の現在も緊急事態宣言のもと、状況の回復にはまだ時間がかかる見通しだ。コロナ禍に、ビジネスそのものに大きな変動が起きているのは誰もが感じていることだろう。Beforeコロナでは、出社や対面など人と人との接触を前提として業務が設定されていた。しかし、現在では半ば強制的にオンライン活用が求められ、それを前提としたビジネス環境構築が急務となっている。

 そんなビジネス環境の変化において、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」や個人向けの名刺アプリ「Eight」などの提供を行うSansanの日根野氏は、「他業務と同様に営業やマーケティング活動についても、オンラインにシフトした改革が求められている。それも、オンライン商談やオンラインセミナーなどの接点応対だけでなく、すでに接した顧客との関係性を継続できる仕組みづくりが必要で、インサイドセールス部門には、データの蓄積・活用に加え、データ基盤の企画・構築も含めた戦略設計が求められている」と語る。

 
Sansan株式会社 Sansan事業部 セールスディベロップメント部 マネジャー 日根野正己氏

 オンライン前提の営業環境でインサイドセールスの重要度が増すなかで、その役割には顧客への接点の“幅”の違いによって大きく3つのタイプに分けられるという。ひとつはアポイント獲得に集中して役割を果たす「分業型」、ふたつめはリード獲得や提案・クロージングにまで関わる「協業型」、そして3つめはナーチャリングからクロージングまで一続きで担う「独立型」だ。Sansanの営業組織は「協業型」で、新規開拓におけるアウトバウンドのターゲットリストから、商談・案件化まで幅広く担い、状況に応じてインバウンドの新規開拓にも対応するという。

 
 

 この際、インサイドセールスは社内外でふたつの顔を持つことになる。社内ではマーケティング部門が取得したリードに対してナーチャリングを推し進める「組織の戦略コントローラー」としての顔、そして社外では、アポイントをセットして営業担当者に受け渡し、アドバイスを行いながら「伴走するコンサルタント」としての顔だ。そのため、1対1の顧客に向き合う以上に、顧客群としてニーズや要望などの傾向を捉え、営業やカスタマーサクセス、マーケティングなどとコミュニケーションを図りながら、社内に還元する能力が求められる。

 

 ただし、Sansanではこうした型を定義するまでにさまざまな組織変遷を経てきたという。まず2011年ごろから新規獲得を目的にテレビCMを流すようになったことで、一気に問い合わせが増えた。前後して立ち上げられたインサイドセールス部門では「テレマーケティング対応」が重要な役割となり、KPIも商談数の確保が第一となった。

 

 エンタープライズ企業へのアプローチをさらに強化した2016年ごろからは、受注数よりも受注単価が重視されるようになり、戦略的な顧客折衝のために営業やマーケティングとの「ユニット連携」が必要になった。そして現在は営業・マーケティング組織の人員も増加し、既存顧客に対するアップセル強化や地方への訴求、エンタープライズシフトに伴う戦略設計などが求められるようになり、営業やマーケティングから独立した部門として組織されている。

インサイドセールスの本質はデータ基盤の構築と利活用にあり

 インサイドセールスが独立した機能や役割を持つ部門となった現在、営業成果を上げるために重要度が高まっているのが、「顧客データベースの構築手法」と「顧客データベースの活用」だ。日根野氏は「インサイドセールスを推進する本質は、自社のデータ基盤を構築し、それをどのように営業につなげて活用するかにある」と語る。実際、Sansanでもコロナの影響で新規顧客との接点が一時大きく落ち込み、回復傾向にあるとはいえ不安定な状況下における、インサイドセールスの役割が改めて問われるようになった。

 そこで日根野氏は「中長期的な視点を持ち続けながらも、日常的な接点を絶やさずに自社の資産として蓄積し、未来の商談獲得が継続して行うことができる状態が重要なのではないか」と考えるようになったという。それでは、Sansanではインサイドセールスでどのように顧客データベースを構築し、営業活動へとつなげているのだろうか。

 まず日根野氏は、ベーシック社のアンケート結果を示し、コロナ禍のマーケティング活動において、42%の企業が「リード獲得数が大幅に減少した・減少した」、72.8%の企業がオンラインマーケティング活動を「大幅に強化したい・強化したい」と回答していることを紹介した。

 日根野氏は「アンケートでは『新規のリード獲得施策の強化』に関心が高まっていることがうかがえるが、新規リードは企業やプロダクトの成長とともに鈍化していく。サブスクリプションが主流になりつつあることを鑑みると、サービス導入後のお客様フォローから、継続性のある見込み客の獲得や育成につながると考えるべき」と語り、「日々顧客と接するメンバーのアクションや知見を『顧客データ基盤』として蓄積し、そこから将来の見込み顧客獲得へと昇華させていく。それが今、インサイドセールスが向き合うべき最大のテーマではないか」と強調した。

 Sansanのデータベースもまた、さまざまな課題を抱えつつ、少しずつ変化してきたという。2007年から2016年までの創業期は自社サービスのSansanとSalesforceを活用し、“正確なデータをとにかく貯めること”を優先してファネルのPDCAに注力していた。それが2016年以降の拡大期においては、蓄積したデータを活用して営業戦略を構築することに変わっていったという。その際に重要な役割を担ったのが、「Sansan Data Hub」だった。

 

 Sansan Data Hubは、あらゆる自社データに法人番号や企業情報を付与し、データを企業単位に集約することができるサービスだ。これにより、CRMに蓄積された情報はもちろん、一般的な法人の基本情報や取引・契約情報、そしてリード情報まで統合することができる。Sansanではユーザー情報はすべてMAシステム(Marketo)に集約し、営業情報はSalesforceに格納されるようになっているが、それらから顧客情報をSansan Data Hubのもとで統合したうえでインサイドセールスに活用している。

 

ABM戦略を実現するSansan Data Hub オンライン名刺が基軸に 

 Sansan Data Hubによって統合されたデータの基軸となっているのが、Sansanに蓄積されている名刺データだ。統合によって名寄せなどができるだけでなく、そのデータに関係する新たな情報が得られる仕組みになっているという。

 たとえば、「人事異動・連絡先変更ニュース」はそのひとつだ。登録した名刺情報に対して、社内のメンバーが交換した最新の名刺情報や、ダイヤモンド社や四季報などの外部ソース、SansanのもうひとつのサービスであるEightに自身で新たに登録したデータなどと比較して、変更や更新が判明すると、プッシュ通知が届くようになっている。顧客情報は1年に約20%が更新されることを鑑みると、こうした仕組みは顧客情報の管理に不可欠かつ重要な機能といえるだろう。

 そして、名刺情報を蓄積することで「組織ツリーが自動生成」されるというのもユニークだ。高精度な名寄せエンジンによって、社名変更やM&Aなどがあっても自動でひとつの会社としてまとめられ、社内で新たに名刺交換した人がいれば、未接触の人にも自動で表示される。同社のCMにあったような「早く言ってよぉ〜」という状況に陥らずに済むというわけだ。また、この機能も四季報などと連携しており、未接触の役員クラスも含めて表示されるようになっている。

 

 さらに「ABMダッシュボード」では、ターゲット企業の部署や役職のタッチポイントの傾向を可視化し、複数社で比較ができるようヒートマップで表示されるようになっている。たとえば、関係の深いA社と取引が希薄なB社について、ABMダッシュボードのヒートマップで比べることで、「重要部門へのリーチがなされているか」「どこにアプローチすればいいか」、といった示唆が得られるというわけだ。

 

 こうしたデータの活用について、日根野氏は「企業と個人の情報を集約することで、ターゲット企業だけでなく個人についても、適切なコミュニケーションのタイミングなど戦略的に考えることができる。新規のリードが入らなくても、現在のリードを最大限活用することで新たな利益の源泉を探ることができる」と語った。

 そして、現在の会社・個人データの活用は行うとしても、当然ながら新規のリードの獲得も並行して行いたいと考えるのは自然なことだろう。しかしながら、現在のオンラインがメインの営業活動では、紙の名刺交換が難しいため、顧客接点の情報蓄積や更新が行いにくいという問題がある。また、同席者についての情報も得られにくく、商談に支障をきたすだけでなく、商談後のフォローやアプローチも行いにくい。

 そのような場面で役に立つのがSansanの「オンライン名刺交換」だ。相手にURLを送るだけでそこから名刺情報をダウンロードしてもらうことができ、さらに相手側で付属したQRコードへアクセスして名刺を撮影すると相手の名刺データを取得することができるというものだ。オンライン名刺のやりとりによって、アイスブレイクを行い、商談相手の所属部署や肩書を漏れなく把握し、社内での人脈の共有も可能になる。事実、日根野氏もほぼ営業活動がオンラインになっているが、これまでと変わらない成果が得られているという。

 
講演中のオンライン名刺交換デモ

 最後に日根野氏は、「オンラインでの営業が一般化する時代においては顧客データの取得・蓄積が課題となるが、オンライン名刺交換によってビジネスの接点情報を、正確に蓄積し、これからの営業戦略に活用することができる」と語り、「オフライン商談でもオンライン商談でも、顧客データの蓄積・統合・活用が不可欠になっている。ぜひ、Sansan Data HubおよびSansanのオンライン名刺を役立ててほしい」と述べ、セッションのまとめとした。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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