【失敗例1】いきなり全配信をして配信元自体がブロックされてしまう
森野 コロナの影響でオンラインが中心になってきました。電話もできないしDMを送っても届かないので、きっかけはどうしてもメールになることが多くなりますよね。これから本格的にメールマーケティングを始める企業も多いと思いますので、失敗例を出しながら上手くいく方法を安藤さんにお聞きしたいと思います。
よくあるのがいきなり全配信してしまうというケースです。何も考えずに全配信してしまうことはあると思うんですけれども、しばらく配信していなかったリストに対して配信するというときは、まずどうしたらよいのでしょうか?
安藤 そうですね。特にBtoCだと携帯のアドレスを使っている方が結構いらっしゃると思うのですが、この方々は頻繁にメールアドレスを変えてしまいます。そこで普段コミュニケーションをとっていないリストに配信するときは、リストを500通ずつとか1,000通ずつに小分けにして配信していくと良いです。
森野 なるほど、何万というリストがあるからといっていきなり送るとスパム扱いされて終わってしまうと。
安藤 そうですね。普通にきれいなリストであればエラー率の平均は1%ぐらいなんですね。5%~10%など大幅に超えるようなエラーが出てしまうと、配信元自体がブロックされてしまうことがありますので、まずはそこを押さえることから始めたほうが良いです。
森野 やっぱりリストの精査からですよね。
【失敗例2】迷惑メール対策をしなくてメールが届かない
森野 多くの有料のシステムなら大丈夫だと思うのですが、無料ツールなどでは迷惑メール対策をしていないことも多いですよね。
安藤 そうですね。迷惑メールに入ったかどうかは送信者側には戻ってこないので、知らない間に出しているメールが迷惑メールに入ってしまっています。配信者側は全部届いているつもりでも、実は結構な数が迷惑メールに判定されてしまっているというのはよく起きることです。基本的には有料メール配信システムであれば迷惑メール対策をしているはずなので、その中でもどういう対策をしているのかというのを各社に聞くことは非常に大事です。
森野 特にこれぐらいは見ておくべきだという点はありますか。
安藤 複数の配信サーバーが用意されているかどうかですね。迷惑メール判定されてしまわないという完全なゼロリスクは無理なので、仮にブロックされたとしても瞬時に配信サーバーを切り替え、きれいなところから送ることができるようなシステムであることはまず必須条件だと思います。
メールのエラーが返ってきたときにエラーを分析できるかどうかも大切です。エラーは大きく分けてハードバウンスとソフトバウンスという2種類があるんですけれども、その中でもハードバウンスと呼ばれるものは、宛先が存在しないアドレスなので2度送っても意味がないんですね。これはすぐにリストから削除します。それがシステム側で判別できるかどうかというのは重要だと思います。
森野 ハードバウンスのものを自動でリストから外してくれるというやつですよね。ほかにもありますか?
安藤 配信システム側ではなく、配信システムを利用するユーザ側でも注意することがあります。ひとつめはSPF設定です。メルマガのFromアドレスに使用するドメイン内の設定で「このメールサーバーを使うよ」という宣言をしているかどうか。ふたつめは配信停止の導線で、「配信停止」もしくは「配信解除」という文言が本文内にきちんと入っているか。そして、3つめは件名や本文内で禁止ワードを必要以上に多用していたり強調していないかです。禁止ワードについては、それぞれのワードの中での強弱があるみたいなんですけれども、「無料」とか「今すぐ」とかといういわゆる釣り系のワードは減点対象にはなりやすいみたいです。
森野 よくないことがあると減点されていくんですね。
安藤 迷惑メールフィルターはスパマーが出すメールを振り分け、健全なメールだけがメールボックスに残るようにするのが仕事です。スパマーが出すメールの特徴に合致したメールにマイナスポイントをつけ、その減点数の総和を判断材料として迷惑メールフォルダに振り分けているんです。
森野 ここは見逃されがちですけど忘れやすい点なので注意したいですし、自分たちでできることなのできちんと対応しておきたいです。