SALESCOREは、AI戦略の一環として、同社プロダクトを支える分析基盤の構造的な刷新を実施した。

背景
生成AIの進化により、自然言語によるデータ抽出や示唆生成は現実的な選択肢となりつつある。しかし、AIの性能を十分に発揮させるためには、その背後にあるデータ構造が整理され、意味が明確に定義されていることが不可欠である。
SALESCOREではこれまで、Salesforceの営業活動データ、PostgreSQLに蓄積されたKPIデータ、PostHogによるユーザー行動ログなどをBigQueryに統合し、営業組織の実行を可視化・支援してきた。一方で、事業成長に伴うデータ量の増加により、特定の分析クエリが1回あたり150GBをスキャンする状態となり、分析の試行回数や仮説検証スピードに影響を与えうる構造的課題が顕在化していた。
取組み内容と結果
同社は、AI戦略を本格的に推進するためには、この基盤そのものを見直す必要があった。そこで、データ変換基盤であるdbtレイヤーを全面的に再設計し、中間処理構造やフィルタリングの最適化を実施した。約106回のコミットと約1.1万行におよぶ変更を通じてクエリ構造を再構築。その結果、1クエリあたりのデータスキャン量は150GBから700KBへと削減された。
これにより、分析コストの最適化だけでなく、仮説をスピーディーに検証できる環境が整備された。データ活用の自由度を高めることは、AIによる高度な分析や示唆生成を支える基盤強化にもつながる。
今回の再設計では、単なる処理効率の改善にとどまらず、AI活用を見据えた基盤整備も進めた。各テーブルおよびカラムに対してDescriptionを整備し、データの意味構造を明示的に定義することで、将来的なAI活用や自然言語によるデータ抽出の高度化に対応しやすい構造へと刷新している。
生成AIの活用が広がる中で、AIの性能を十分に発揮させるためには、背後にあるデータ基盤の整備が不可欠である。今回の取り組みは、AIを機能として追加するのではなく、AI活用を前提とした構造へと段階的に移行するための土台づくりであるとSALESCOREでは位置づけている。
