Zoho Corporationは、2025年10月16日(米国時間)に、企業のAI活用を支援する新機能群「エージェント型AI(Agentic AI)」を発表した。
背景
近年、業界を問わず企業のAI導入が進む一方で、「データの整備不足」「既存システムとの統合難易度」「高コスト」といった課題が障壁となってきた。
Zohoは独自開発による統合プラットフォーム上に55以上の業務アプリを展開しており、今回発表した「エージェント型AI」では、既存ユーザーが追加の設定や費用負担をせずにAI機能を日常業務へ取り込むことが可能になる。
3つの業務領域でAIを拡張
1.コラボレーション領域(Zoho Workplace)
- Zoho Mail:ビジネス向けメールプラットフォーム。複数アプリをまたいだAI自動化に対応し、「A社からのメールを要約してドキュメント化し、B社の担当者に送信」といった複合指示を実行できる。
- Zoho Cliq:チームコラボレーションとチャットを統合したツール。チーム内の会話やファイルを横断検索し、AIが会話の要約やタスク抽出を支援する。
- Zoho Sheet:オンラインで利用できる表計算ソフト。AIがデータ分析やパターン検出を行い、数式やグラフの自動生成をサポートする。
- Zoho Tables:業務データを整理・共有するデータベースツール。AIが入力内容をもとにテーブル構造を自動提案する「AI Base Creation」機能を搭載し、さらにキーワード抽出・感情分析・言語検出フィールドなど、SEOやコンテンツ分析に活用できる新機能を追加する。
2.カスタマーエクスペリエンス領域(Zoho Desk 、Zoho Sign)
- Zoho Desk:世界で10万社以上が利用するカスタマーサポートプラットフォーム。サポートニーズに応じたプリセット型AIエージェント「Zia Agents」を新たに提供開始。問い合わせ履歴を自動記録・要約する「Resolution Expert」により、過去事例を学習して対応精度を向上させる。
- Zoho Sign:世界4万社以上が利用する電子署名ソリューション。文書へ署名できる機能を提供しており、新たに追加された「Agreement Intelligence」により、契約書や合意書を生成・校正・要約する。その結果、文書管理の効率を向上させることが可能となる。
3.人事領域(Zoho Recruit)
- Zoho Recruit:世界中の採用チームに利用されている人材獲得ソリューション。AIが履歴書・求人票・候補者プロフィールを解析し、もっとも適したマッチングを自動提案する。
- AIアシスト評価生成:職種やスキルに応じた評価項目を自動作成し、公平かつ効率的な選考をサポートする。手動・自動どちらの評価方式にも対応する。
活用事例
カナダのスパ・温浴設備メーカーArctic Spasでは、AI機能の活用により営業チームの対応効率が向上し、週あたりのリード対応数が約300件から1,000件近くまで増加した。
Arctic Spas社 ビジネスアナリスト フィリップ・イディー氏のコメント
ZohoのAI機能とMCP機能を活用することで、今年はZoho Desk、Analytics、CRMのワークフローを大幅に改善することができました。営業プロセス全体の流れが明確になり、チーム間での連携もスムーズになったことで、リード管理の精度が格段に高まりました。多くの企業がエージェント型AIツールの効果を誇張する中で、Zohoでは導入直後から目に見える成果を実感できました。長年Zohoを利用していますが、これほど少ない手間で最大の効果をもたらすツールを継続的に提供していることに改めて驚かされています。
Zoho Corporation チーフ・エバンジェリスト ラジュ・ヴェゲスナ氏のコメント
多くの企業でAI導入が停滞している背景には、複雑なシステム構成や外部依存の多さがあります。
Zohoは自社開発のテクノロジースタック上に全製品を構築しているため、外部ツールを追加することなく、ユーザー企業は“そのままAIを使える”環境を手にできます。これこそが、Zohoが提供する「将来に備えたプラットフォーム」の価値です。
