SalesforceとGoogleは、戦略的パートナーシップを拡大し、企業変革を促すAIイノベーションを生み出すことを発表した。この連携により、Google「Gemini」の最新モデルが新しい「Agentforce 360 Platform」に導入される。
本パートナーシップの拡大には従業員の生産性が最優先に考慮され、Agentforce 360をGoogle WorkspaceのセールスおよびITサービスと統合し、すでにGmailで利用可能なSalesforce Geminiの統合をさまざまなGoogle Workspaceツールに拡大する。
これらの統合がもたらす効果は次のとおり。
- 従業員と顧客のさまざまな接点で、一貫性があり、状況に合った体験を提供する
- これらの体験を通じて信頼を築く
- 本連携により顧客対応の基準を確立する

連携の内容
顧客はSalesforceのAtlas推論エンジン(Agentforceの中核技術)にGeminiモデルを活用できるようになった。これにより、利用可能なモデルの選択肢が拡大し、Geminiのマルチモーダルのインテリジェンスを活用して、複雑な多段階の企業課題を解決することが可能になる。また、推論エンジンがハイブリッド推論に対応したことで、GeminiユーザーはSalesforce上でより正確で一貫性のある成果をもたらすAIエージェントを展開できるようになる。
また、SalesforceとGoogleは大規模行動モデルの機能拡張も進めている。これは、テキストだけでなくプロセスの自動化を可能にするもので、主要なCRMベンチマークにおいてチューニングされたGeminiモデルを採用している。これにより、顧客は複雑な多段階のビジネスプロセスをより正確に自動化することが可能となる。
エンタープライズグレードのAI実現に向けたこの共同の取り組みは、SalesforceとGoogleによるModel Context Protocol(MCP)やAgent2Agent(A2A)などのオープンスタンダード対応によって、さらに強化される。これらの技術は、プラットフォームや専門領域を超えたマルチAIエージェントの連携を可能にする。また、企業全体でエージェント、データ、ツールを結びつけるAgentforce 360のオーケストレーション機能をさらに発展させる。
Google WorkspaceとGemini、Agentforce 360を活用したAI対応ワークフォースの構築

SalesforceとGoogleはこれまでも、Google WorkspaceとSalesforce Platformのシームレスな統合を通じて、従業員体験の向上に長年取り組んできた。これは、SalesforceのAIエージェントプラットフォームの最新モデルであるAgentforce 360においても同様である。これにより、ユーザー企業はGmailやMeetといったGoogle WorkspaceアプリケーションからAgentforce SalesやAgentforce ServiceなどのSalesforce Customer 360アプリケーションにアクセスすることが可能になる。
たとえば、訪問者がウェブサイトに訪れると、Agentforce Salesは動的にパーソナライズされたGmailでのやり取りを開始し、リードを評価し、Googleカレンダーで会議をスケジュールすることが可能になる。また、Geminiを活用したGoogle Workspace全体でのSalesforce連携機能の拡張により、営業担当はGeminiアプリやスプレッドシート、ドキュメント、ドライブ、スライド、Meetなどのツールを通じて、CRMデータやインサイト情報にアクセス・閲覧できる。
新たにリリースされたAgentforce IT Serviceのソリューションは、Googleとの標準的な連携機能も備えている。これにより、AIエージェントやITチームは、Google Workspaceへのアクセス自動化、ChromeOS搭載の従業員端末のセキュリティ管理、Lookerを用いたITサービスの傾向分析といった一般的なユースケースにおいて、ITサービス提供の速度と品質を向上させることが可能になる。
「Gemini Enterprise」と「Slack」がデータを統合
本パートナーシップにより、Gemini EnterpriseはSlackのリアルタイム検索APIと連携し、業務の流れに直接組み込まれる。
この連携により、Gemini Enterprise のユーザーは組織内の最新の会話データやファイルをもとに回答を生成できるようになり、インサイトの獲得からアクションの実行までをスピーディーに進めることが可能になる。
このパートナーシップにより、Slack のユーザーインターフェース内から直接利用できる Gemini Enterprise エージェントへの新たなエントリーポイント が導入され、双方向のワークフローが可能になる。
Salesforce チーフサイエンティスト シルヴィオ・サヴァレーゼ(Silvio Savarese)氏のコメント
企業環境において、AIエージェントは高度な能力と一貫性を備えていることが不可欠です。特に重要なユースケースにおいてはなおさらです。私たちは協力して、モデルレベルに至るまで、エージェンティックエンタープライズの未来の可能性を構築するための新たな基準を確立していきます。
Google Workspace Platform and Growthプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントGeorge Kwon氏のコメント
Google WorkspaceとGemini、Salesforceのより深い連携は、チームの業務遂行方法を根本的に改善する可能性を秘めています。この連携により、重要なビジネス情報と強力なAIアシスタントが統合され、営業、カスタマーサービス、IT部門を問わず、チームがより賢明な意思決定を行い、重要な情報を活用して業務を効率化できるよう支援します。これらすべてを、チームが日常的に使用するツールから実現できるのです。