TISインテックグループのアグレックスは、企業の顧客理解を促進することで営業活動をサポートする「エンタープライズセールス向けアカウントプラン作成支援ソリューション」を開発し、Salesforceアドオンパッケージとして提供を開始した。
背景
大手企業向けの営業活動は、商談の芽の発掘から具体化、提案、顧客内調整を経て契約までの一連の流れに1年以上かかることが多く、社内外の関係者も多岐にわたるため、結果的に業務が属人化しやすい傾向がある。また、中小企業と比べて見込み顧客数が少ないことに加え、契約が成立すると大きな利益をもたらすことから、さまざまな競合企業が存在する。コンペティション形式で複数社から比較検討するケースも見受けられ、中小企業向けの営業活動での成功体験や手法を大手企業向けの営業にそのまま適応しても成果につながりづらい実情がある。
このような中、大手企業向けの営業で勝ち抜いていくためには、顧客を取り巻く環境や経営方針を把握したうえでニーズや課題に即した提案が必要となり、顧客分析に注力する企業が増えている。
また、『エンタープライズセールス 大企業担当の営業組織が成果を出し続けるためのバイブル』(佐藤亮 著、松村泉 監修、翔泳社)では、エンタープライズセールスの仕事を「顧客理解」「関係構築」「信頼の醸成」「成功と展開」の4つのフェーズに分け、アカウントチームを組成して取り組むことが有効だと記されている。
このような背景から、アグレックスは、「顧客理解」のフレームワークをSalesforce上で稼働するアドオンパッケージとして開発することで、企業の課題をスピーディに解決することができると考え、エンタープライズセールス向けアカウントプラン作成支援ソリューションの提供に至った。
特徴
1.アカウントプランを作成するためのふたつのマップ機能
ポテンシャルマップとインサイトマップから、アカウントプランを作成。フレームワークに基づいてアカウントプランを策定するため、営業活動の標準化が進み、品質の安定化を実現。各マップから商談を作成でき、シームレスに商談管理まで実施可能になる。
(1)ポテンシャルマップ

顧客の部門と自社商品のマトリクスでホワイトスペース分析を行い、顧客に対して自社が提案可能な領域はどこなのか、購買可能なボリュームはどの程度あるのかを可視化する。
(2)インサイトマップ

顧客の経営方針やビジネス環境などから、どのようなプロジェクトが顧客にとって必要なのかを押さえ、プロジェクトと自社商品をセットで顧客へ提案するための戦略を検討。Industry Cloud版(※)ではスライド出力機能で検討結果を提案資料へ組み込むことも可能。
※業界特化型のSalesforceライセンス
2.生成AIによる機能拡張
生成AIを搭載した機能の活用により、営業活動に付随するノンコア業務の手間とコストを削減し、営業が本来注力するべき提案活動や契約締結後のフォローアップ活動などのタスクに集中できるよう後押しする。
(1)アカウントプランニングセッション向けの要約機能
顧客に対する行動や各マップの変更履歴を生成AIで自動要約し、アカウントプランニングセッションの準備にかかるコストを約30%削減する。
(2)外部環境分析機能
顧客を取り巻く外部環境の分析を生成AIで支援することで効率的にインサイトマップの作成が可能になる。
期待される効果

- 顧客理解のフェーズにおいて業務標準化が進み、営業品質の安定化を実現
- マップ機能を活用した営業活動の標準化により共通言語ができることで、チーム内の顧客理解が早まり、円滑なレビューの遂行が可能になる
- 複数の商材、複数の提案先がある場合に、効率良く社内のリソースを割りあてることが可能になる