ALL DIFFERENT(オールディファレント)およびラーニングイノベーション総合研究所は、2025年度入社の新入社員3,933人を対象に「新入社員意識調査」を実施。その中から、2025年度新入社員のキャリア志向に関する調査結果を公表した。

担いたい役割は「専門家」「管理職」「未定」「志向ない」がほぼ同率 「キャリア志向なし」は23.3%で過去最高

新入社員に対して、将来会社でどのような役割を担いたいか質問した。結果、「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい(専門家)」が27%でトップだった。次いで、「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(管理職)」が25.2%、「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」が23.5%、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」が23.3%だった。

将来担いたい役割についての回答を男性・女性で比較すると、男性のトップは「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(管理職)」、女性は「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていきたい」だった。「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(管理職)」と答えた男性は、女性よりも13.7ポイント高い31.1%、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていきたい」と答えた女性は、男性より10.8ポイント高い29.6%という結果だった。
回答割合の高い項目の順序は、「わからない」をのぞいて、男女ですべて逆転する結果となった。

またこの設問について、2014年度から12年間、各年度の新入社員の回答結果を比較した。結果、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」は過去最高の割合であることがわかった。また、「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」の回答割合も徐々に増加傾向にある。
一方、「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい(専門家)」の回答割合は、11年前に比べて9.4ポイント低く、過去最低の割合となった。
管理職になりたい理由のトップは「人を束ねて大きな仕事をしてみたい」36.6%

続いて、将来担いたい役割の質問で「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(管理職)」を選んだ回答者に対して、リーダーになりたい理由を質問した。結果、「人を束ねて、大きな仕事をしてみたいから」が36.6%でもっとも高い回答割合だった。次いで、「仲間と仕事をするのが好きだから」が34.6%、「将来経営層として会社を引っぱっていきたいから」が21.8%と続いた。

またこの設問について、2014年度から12年間、各年度の新入社員の回答結果を比較したところ、「仲間と仕事をするのが好きだから」は11年前の23.7%から10ポイント以上増加した。一方、「将来経営層として会社を引っぱっていきたいから」は11年前の37.5%と比較して15ポイント以上減少傾向にあることがわかった。「人を束ねて、大きな仕事をしてみたいから」は過去最高の割合で、微増傾向だった。
専門家になりたい理由、「いざというときに専門性を活かして仕事をしていきたい」が半数以上

次に、将来担いたい役割の質問で「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい(専門家)」を選んだ回答者に回答理由を質問した。結果、1位は「いざというときに専門性を活かして仕事をしていきたいから」(55.2%)で、半数以上が回答した。次いで「専門家として一つの分野を追究してみたいから」(37.3%)、「マネジメントが自分には不得手だと感じるから」(4.2%)、「一人で仕事をするのが好きだから」(2.9%)と続いた。

この設問について、2014年度から12年間、各年度の新入社員の回答結果を比較したところ、「いざというときに専門性を活かして仕事をしていきたいから」は2014年度の42.5%より伸びており、2024年度は減少に転じたが、依然として高い割合を保っている。「専門家としてひとつの分野を追求してみたいから」は2016年度から減少傾向だったが、2023年度から増加傾向に転じていることがわかった。
リーダーのイメージ、1位は「リーダーシップが求められそう」 リーダー意向別で回答傾向に差

次に、リーダーに対するイメージについて質問したところ、「リーダーシップが求められそう」(51.5%)がもっとも多くなった。2位は「成長できそう」で35.3%、3位は「やりがいがありそう」で34.7%だった。

図1の質問で、管理職を選択した人をリーダーになりたいと回答した人、それ以外の回答を選択した人をリーダーになりたいと回答していない人と分類し、リーダーのイメージ像に対する回答について比較した。
結果、リーダーになりたいと回答した人がもつイメージのトップは「やりがいがありそう」で50.3%だった。次いで、「リーダーシップが求められそう」が48%、「成長できそう」が44.8%だった。
一方、リーダーになりたいと回答していない人は、「リーダーシップが求められそう」が52.7%でトップ、次いで、「難しそう」が33.4%、「成長できそう」が32.1%で続いた。
リーダーになりたいと回答した人の「やりがいがありそう」の回答割合はそうではない人に比べて20.8ポイント高く、リーダーになりたいと回答していない人の「難しそう」の回答割合はリーダーになりたいと回答した人よりも11.7ポイント高かった。
キャリア形成支援について会社に期待すること、1位は「上司に相談できる機会」

最後に、キャリア形成支援について会社に期待することを質問した。回答割合がもっとも高かったのは、「上司に相談できる機会をつくってほしい」で54.3%。次いで、「キャリア形成についてのセミナーや勉強会などを開催してほしい」が36.8%、「上司以外の社員に相談できる機会をつくってほしい」が33.7%だった。
ラーニングイノベーション総合研究所「新入社員意識調査2025(3933人のキャリア志向編)」
【調査概要】
調査対象者:ALL DIFFERENTが提供する新入社員研修に参加した 2025年度入社の新入社員
調査時期:2025年3月25日~4月24日
調査方法:ウェブ・マークシート記入式、または自記式でのアンケート調査
サンプル数:3,933人
属性:
(1)業種
農業、林業 8人(0.2%)
鉱業、採石業、砂利採取業 4人(0.1%)
建設業 245人(6.2%)
製造業 580人(14.7%)
電気・ガス・熱供給・水道業 59人(1.5%)
情報通信業 828人(21.1%)
運輸業、郵便業 85人(2.2%)
卸売業、小売業 262人(6.7%)
金融業、保険業 259人(6.6%)
不動産業、物品賃貸業 162人(4.1%)
学術研究、専門・技術サービス業 217人(5.5%)
宿泊業、飲食サービス業 34人(0.9%)
生活関連サービス業、娯楽業 95人(2.4%)
教育、学習支援業 38人(1.0%)
医療、福祉 61人(1.6%)
複合サービス事業 138人(3.5%)
サービス業(他に分類されないもの) 350人(8.9%)
公務 3人(0.1%)
その他 401人(10.2%)
わからない 101人(2.6%)
ブランク 3人(0.1%)
(2)企業規模
50人以下企業 201人(5.1%)
51人~100人企業 567人(14.4%)
101人~300人企業 1389人(35.3%)
301人~1,000人企業 590人(15%)
1,001人~5,000人企業 660人(16.8%)
5,001人以上企業 305人(7.8%)
わからない 217人(5.5%)
ブランク 4人(0.1%)
※各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としている
※構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がある