Indeed Japan(以下、Indeed)は、女性管理職の採用において企業がどのような対応をしているのか、Indeedの求人データや調査結果をもとに、Indeed Hiring Labが分析した結果を発表した。
求人内で「女性管理職の登用実績」をアピールする企業は6年で5倍に増加

Indeed上に掲載された求人データを分析すると、正社員の求人情報内で「女性管理職比率」「女性管理職の登用経験」を明示する企業の割合が増加していることがわかる。2025年1月時点では、正社員求人を出している企業のうち、女性管理職登用実績を明示しているのは0.76%となり、2019年1月の0.15%と比較すると6年で5倍へ拡大している。
多くの職種で「女性の管理職登用実績」を発信する求人が増加

女性の管理職登用実績に言及している求人の割合を、職種カテゴリ別に分析した。ほとんどの職種で言及率が上昇しており、2024年に言及率が高かった職種カテゴリは「スポーツ」が2.14%、「金融」が1.92%、「カスタマーサービス」が1.54%、「医療技術」が1.4%、「小売り」が1.27%だった。
一方、女性が多いほかの職種(※)を確認すると、女性管理職登用実績への言及率が低位にとどまっているものも複数見られる。たとえば「事務」が0.58%、「看護」が0.28%、「医療事務」が0.25%、「薬剤」が0.15%など。また、2024年に言及率が高い職種カテゴリは、2019年時点では、ほかの職種カテゴリよりも言及率が低かったケースも見られた。もともとの女性就業者の数や割合にかかわらず、上位の職種カテゴリでは女性活躍推進に注力している傾向があると考えられる。
※厚生労働省「令和5年版 働く女性の実情」
女性が管理職求人に応募しない理由は「管理職経験がない」「ワークライフバランスに不安」
Indeedが2024年2月に行った「管理職への転職に関する調査」において、管理職への応募率は男性が18.6%、女性が4.1%だった。応募率においては男女間で14.5ポイントの差が見られた。
「管理職への転職に関する調査」の結果をもとに、管理職への応募率に男女差が生じる理由を分析したところ、「年齢」「収入」「前職の職種」「過去の管理職経験の有無」などの差が主な要因であることがわかった。とくに大きく影響しているのが「過去の管理職経験の有無」だった。女性においては、過去に管理職経験がないと応募を控えやすい傾向にあるといえる。企業が、管理職未経験者でも管理職として採用したいと考えている場合であっても、とくに女性は、なかなか応募に踏み出せない状況がある可能性がある。

また、調査結果からは、「管理職になるとワークライフバランスが崩れるのではないか」と不安を抱く女性が多い様子も見られた。非管理職求人には応募したものの管理職求人には応募しなかった転職活動経験者に対し、「管理職に応募しなかった理由」を質問したところ、男女ともに「ワークライフバランス」への懸念がもっとも多い結果となったが、とくに女性の回答割合が36.8%で、男性の25.6%を上回っていた。
【調査・分析概要】
「女性の管理職登用言及についての調査・分析概要」
調査・分析主体:Indeed Hiring Lab(Indeed Japan)
調査・分析対象期間:2019年1月~2025年1月
調査・分析手法:
女性管理職の登用実績の言及割合:Indeedの正社員求人データのうち、「女性管理職の登用実績」「女性管理職の比率」などの関連キーワードをもとに算出
管理職求人の応募率における男女のギャップ要因についての分析:経済学や社会学で用いられる統計手法であるOaxaca-Blinder分解(オアハカ・ブラインダー分解)を使用
「管理職への転職に関する調査」概要
調査主体:Indeed Japan
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年2月21日~2月26日
調査対象:現在就業中の20~59歳で、現在正社員として勤務しており、直近5年以内に転職活動(応募)を行った男女計15,014名。補正:「令和4年就業構造基本調査」をもとに、正社員の性年代構成比にあわせて補正