米国セールスフォース(以下、Salesforce)は、「Agentforce」を含む再構築されたAIを搭載したビジュアル分析プラットフォーム「Tableau Einstein」を発表した。
「Tableau Einstein」について
Tableau Einsteinは、データドリブンな業務において拡張性、効率性、価値向上を求める企業に対して、ビジネスインテリジェンス(BI)とアナリティクスの機能を提供する。業務フロー全体にデータとインサイトをインテリジェントに組み込んで設計されているため、データを活用したアクションの推進が可能になる。
Tableau EinsteinはSalesforceプラットフォーム上に構築されており、さまざまなチームが分析によるインサイトを活用して、よりスピーディーかつ効果的に意思決定を行うことができる。さらに、Salesforceの信頼性とプライバシーに対する継続的な取り組みにより、Tableauにも安全な基盤が提供され、地域における規制に準拠したグローバルなコンプライアンスが加速される。
期待できること
Tableau Einsteinにより、データアーキテクトやアナリストは、オーサリングフローに統合されたエージェントを活用してセマンティックモデルを構築し、推奨されるオブジェクト間の関係を自動的に適用してコンテキストを作成し、定義を補強することができる。新しい専用のマーケットプレイスでは、開発者がアプリや分析アセットを容易に作成、再利用、共有できるようになり、「Tableau Public」を拡張できる。また、Agentforceにより、Tableau Einsteinは、これまで必要なインサイトを得るためにデータアナリストのインサイト抽出を待たなければならなかったビジネスユーザーにもメリットをもたらす。
たとえば、サービス担当者は、Service Cloud上でカスタマイズ可能な最新のダッシュボードを直接取得し、エスカレーションが必要なサポート案件の表示や、チームメンバーの減少を含めた個人の指標や目標のトラッキングなどができるようになる。また、Tableau Einstein APIを利用することで、人事担当者は指定の従業員管理ツールにログインして、全部門に共通する離職率のメトリクスを表示し、将来必要となる人員数を特定することができる。その結果、誰もがドラッグ&ドロップのワークスペースで、データソース、モデル、ビジュアライゼーション、ダッシュボードなどの複数のアセットを使ってコラボレーションできるようになり、全社的な可視性と信頼性を確保できるようになる。
詳細情報
Tableau Einsteinは、Salesforceから共有されたメタデータフレームワークを活用して、セルフサービス性と俊敏性を後押しするよう設計されている。
- 最新の分析のための自律型および支援型エージェントが、Tableauの主要ソリューションである「Tableau Agent (旧Einstein Copilot for Tableau)」や「Pulse」で提供可能になる。PulseはAIを使用して重要なメトリクスを自律的に特定し、Slack、メール、Salesforceのクラウド製品など、ユーザーが利用するアプリケーション内で、コンテキストに沿ったメトリクスを表示する。Tableau Agentと Pulse により、ユーザーは支援機能を使用して自然言語でデータに質問することができ、視覚的かつ説明的な回答がアプリケーション内のアクションに変換される。分析担当者は、何百もの構築済みAPIエンドポイントでアクションを推進する組み込みのワークフローを強化することができる。Salesforceのクラウド製品と組み合わせると、Tableau Einstein はすぐに使えるメトリクス、予測 AI、AIエージェントを備え、将来に向けた傾向を予測するだけでなく、その予測に基づいて実行可能なステップを提案する。
- 「Tableau Semantics」が、AI、AIエージェント、アナリティクスのデータにビジネスのコンテキストと意味づけを行い、関連データの発見や理解を向上させる。これにより、ユーザーがメトリクス、ディメンション、リレーションシップ、目標を作成し管理するための、柔軟でガバナンスの効いた環境を提供する。従来のBIとAIを組み合わせることで、顧客のビジネスに対する理解を基盤としたインサイトの一貫性と信頼性が生まれる。たとえば、サービス担当者の顧客アカウントに関するインサイトは、最近の電話の履歴、製品購入、返品などの記録を基盤として生成されるため、Agentforceが微妙なニュアンスを理解した対応を行う能力が向上する。
- さまざまなタッチポイントでリアルタイムのデータを安全に拡張し、つながりと一貫性のあるエクスペリエンスを可能にする。Data Cloudとの深い統合、メタデータ主導の自動化、適正化(データ準備とデータ品質プロセスを含む)により、さまざまなチャネルや部門のワークフローに連携することができる。これにより、マーケティング、セールス、サービス、その他の部門において、一貫性、カスタマイズ性、信頼性のあるメトリクスにアクセスして再利用することが可能となり、デジタル広告から決済プロセスに至るまで、さまざまなインタラクションにわたって、顧客のライフサイクルと満足度を全体的かつ詳細に把握することができるようになる。
- API駆動型のオープンなプラットフォーム全体で構成と再利用が可能なアセットにより、企業はあらゆるユースケースにTableau Einsteinを構築でき、他のサードパーティアプリケーションにも拡張できる。また、新しいマーケットプレイスの機能により、データモデルや分析アセットを企業内で共有、発見、使用したり、拡張されたTableau Publicを経由して利用したりできるようになる。サイロ化した組織の中でデータを活用するのではなく、社内で同僚が作成したアセットを共有して再利用し、作業を効率化することができる。
提供時期
Tableau Einsteinの一部は、Tableau+を通じてすでに利用可能。将来的には、独立製品としてだけでなく、「Sales Cloud」、「Service Cloud」、「Marketing Cloud」、「Commerce Cloud」といった他のSalesforce製品にも統合される予定。
Salesforce Tableau 最高経営責任者(CEO)ライアン・エイテイ(Ryan Aytay)氏のコメント
私たちは今、企業が競合より優れた体験を顧客や従業員に提供するためにデータ活用の方法を変える自律型AI革命の真っ只中にいます。高性能なAIを使用して、データとアクションを人と結びつけることで、自律型および支援型のAIエージェントは、業務効率化の新たなパラダイムを体現し、すでに使用しているデータと分析基盤を将来にわたって有効に保ちます。 サイロ化されたデータを横断して情報を探し出したり、データ専門家でなくても、自分の業務を遂行するために必要な情報を入手できるようになりました。データとインサイトは誰にでも利用できるのです。Tableau Einstein により、作業の流れを止めることなく直感的にインサイトを事前に取得し、アクションを起こすことができます。