アプリプラットフォーム「Yappli」を提供するヤプリは、2019年6月17日、資産運用大手フィデリティ系のEight Roads Ventures Japan(旧称:Fidelity Growth Partners Japan)をリード投資家とし、SMBCベンチャーキャピタル、既存株主(グロービス・キャピタル・パートナーズ、YJキャピタル)を引受先とした第三者割当増資と、みずほ銀行、りそな銀行、日本政策金融公庫からのデットファイナンスを合わせ、最大で約30億円の資金調達が決定したことを発表。内訳は、第三者割当増資で約22億円(追加投資枠含む)、融資で約8.5億円となる。
同社はこれまで、グロービス・キャピタル・パートナーズ、YJキャピタル、salesforce.com,inc、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、川田尚吾氏らから約10億円の資金調達を実施しており、累計調達総額は約40億円となった。
Yappliは、モバイルテクノロジーで企業の課題解決を行うクラウド型のアプリ開発プラットフォーム。2013年のサービス開始以来、プログラミング不要でスマートフォンアプリの開発・運用を可能にする技術を提供し、これまで300社以上の企業に導入されており、Yappliで開発されたアプリの累計ダウンロード数は3,500万(2019年5月実績)を突破した。SaaSの重要指標である解約率は1%以下を維持し、売上高も前年比約2倍で成長しているという。
今回調達した資金は、主にプラットフォームの拡大に必要なプロダクト開発と人材の採用、マーケティング活動への投資に活用する。実績が豊富な店舗・Eコマースのマーケティング支援領域では、機能開発と並行した広告活動への投資で顧客基盤のさらなる拡大に注力。また、働き方改革を追い風としたデジタルトランスフォーメーションの潮流に乗り、社内での利用やBtoBでの生産性向上を目的としたビジネス支援のアプリ活用が進んでおり、この領域においては、多岐にわたるニーズに合わせた機能開発を中心に、新たなソリューションの確立を目指す。
新規投資家からのコメント
Eight Roads Ventures Japan プリンシパル 村田純一氏
「“No-code/ low-code”がSaaS業界のグローバルでの大きな潮流の一つとして昨今取り上げられる中、Yappliのチームは、その言葉が生まれる何年も前から、その分野に着目したパイオニアでありその先見性はビジョナリーであると言えます。卓越したテクノロジーとUX改善への執念はもちろんのこと、強力なカスタマーサクセスも当社の強みの一つであり、顧客とのインタラクションを通じて得たインサイトあふれる知見を通じ、Yappliは更なる将来を見据えています。弊社としてはその現在の強みと将来の可能性の双方に魅力を感じ、今回の大型ラウンドをリードさせていただくことにいたしました。Yappliにとってはこの調達は単なる通過点にすぎません。ここからの更なる圧倒的な成長軌道を投資家としてご一緒できることを心より楽しみにしております」
既存投資家からのコメント
グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー 今野穣氏
「この度、Yappli社に対して、既存株主による追加出資として参加できたことを大変喜ばしく思います。弊社から同社への出資は今回で三回目となります。同社の保有する高い技術力・製品実装力と、業務遂行力の高さに裏打ちされた、極めて高い資本効率・良質な経営指標(KPI)は、数あるスタートアップ企業の中でも、間違いなくトップクラスです。今回調達した資金を元に更に事業・組織を拡充し、『Mobile Tech for All』というミッション実現に向けて愚直に邁進されることによって、日本を代表するSaaS 企業としてご発展されることを願っています」
YJキャピタル 代表取締役 堀新一郎氏
「2013年に出資させて頂いてから、早6年。2015年のSlush Asia準優勝&資金調達を皮切りに快進撃が始まりました。この4年間は日本のスタートアップ業界の中でもトップクラスに入る成長スピードだったと思います。初回出資時から今も変わらない、マーケットの最先端の技術をプロダクトに組み入れる開発力、クールなデザイン・制作力、クライアントファーストのセールス力。今回の調達を通じて、ヤプリのコアコンピタンスを更に高めていき、グローバルで活躍するサービスに発展されるよう期待しています」
セールスフォース・ドットコム 常務執行役員 Salesforce Ventures 日本代表 浅田慎二氏
「従来SIERが独占してきたモバイルアプリ開発というマーケットに対し、Yappliはユーザの本質的な成功にコミットするSaaSモデルを提供することで、今日までものすごいスピードで成長してきました。その姿を近くで見ることができ大変感謝しています。今回の資金を元にさらにカスタマーサクセスへコミットし、近い将来グローバル進出を果たすことを期待しています」