タナベコンサルティングは、全国の企業経営者・役員・管理職・一般社員を対象に実施した「人材採用・育成・制度に関する企業アンケート調査」の結果を発表した。
調査概要
調査方法:インターネットによる回答
調査期間:2022年8月17日~2022年8月31日
調査エリア:全国
有効回答数:197件
回答者属性:全国の企業経営者・役員・管理職・一般社員
各データ詳細
新卒採用における課題は「求める人材からの応募数が少ない」「母集団形成が不十分」が多数
新卒採用における課題に関しては、「求める人材からの応募が少ない」(31.9%)、「母集団形成が不十分」(24.1%)が合わせて56.0%と、過半数を占める結果となった。企業は自社の求める人材像を明確化した上で、採用戦略(母集団形成)や採用手法を設計することが求められる。
人材育成上の課題は「教育計画の見直し」が最多
人材育成上の課題に関しては、「教育計画の見直し」と回答した企業が54.3%ともっとも多く(昨年比+8.4%)、次いで、「自発的に学ぶ風土づくり」が53.8%(昨年比+7.6%)となった。3番めは、「OJTのレベルアップ」の46.2%(昨年比+5.1%)であり、上位3つの項目に関してはいずれも昨年と比較して割合が増加している。
一方で、「e-ラーニングの導入」(昨年比-7.1%)、「教育予算の削減」(昨年比-5.5%)、「社内研修のデジタル化」(昨年比-3.5%)の3項目は昨年と比較して割合が減少。新型コロナウイルスの流行によって急務となった社内研修のデジタル化やe-ラーニングの導入はすでに完了し、課題感は落ち着いてきていることがうかがえる。
人材育成・研修では、Webよりもリアルのコミュニケーションが重視される結果に
今後の育成・研修で注力したい手法に関してたずねると、「社内研修」(48.7%)がもっとも多く、次いで「OJT」(42.6%)、「外部研修(リアル受講)」(42.1%)という結果となった。「e-ラーニング」や「外部研修(Web受講)」と比較して、「社内研修」「OJT」「外部研修(リアル受講)」が上回っており、Webよりもリアルのコミュニケーションを重視した研修が求められていることがわかる。
6割以上が「マネージャー(管理職)が不足している」と回答しており、年々増加している
今、とくに不足している(強化したい)と感じる人材に関しては、「マネージャー(管理職)」(63.5%)がもっとも多い結果となった。マネージャー(管理職)不足と感じる企業の割合は、年々増加の傾向にある。次いで、「専門・技術のスペシャリスト人材」が44.2%という結果から、顧客のニーズが多様化・専門化していく中で、対応可能なスペシャリスト人材が求められていることがうかがえる。
企業が求める人材像は「指示以外のことも自律的に行動できる人材」が最多
企業が求める人材像についてたずねたところ、「指示以外のことも自律的に行動できる人材」(57.9%)がもっとも高く、昨年を16.3%上回る結果に。次いで「コミュニケーション力が長けており、良好な関係を構築できる人材」(49.2%)、「チームワークを尊重できる人材」(37.6%)という結果から、企業は、組織・チームを意識し、社員同士で協力し合って働ける人材を求めていることがわかる。
・人事上の課題は「評価制度」が最多、「賃金制度」「シニア人材の処遇」についても対応が急務
人事制度上の課題についてたずねたところ、昨年同様「評価制度」(53.8%)がもっとも高く、半数以上の企業が課題と感じていることがわかった。次いで「賃金制度」(40.6%)、「経営戦略との連動」(28.9%)が高く、人材の定着のためにも、人事制度(HRポリシー・等級制度・評価制度・賃金制度)が経営戦略と連動しているかの見直しは急務であると言える。
また、各項目を昨年度と比較すると、「賃金制度」(昨年比+14.2%)や「シニア人材の処遇」(昨年比+12.2%)など、処遇を課題と感じている企業の割合が増加していることがわかる。近年、企業は雇用延長や同一労働同一賃金などの処遇に関する問題に直面し、早急に対応しなければいけないことが増加の要因だと推測できる。