帝国データバンクがDX推進に関する企業の意識調査の調査結果を発表した。
DXに取り組む企業は15.7%と7社に1社 半数超は「取り組み進まず」
DXについて、どの程度理解し取り組んでいるかを尋ねると、DXの「言葉の意味を理解し、取り組んでいる」企業は15.7%と7社中1社であった。「意味を理解し取り組みたいと思っている」(25.7%)と合算すると4割がDXへの取り組みを前向きにとらえていた。他方で、「言葉の意味を理解しているが、取り組んでいない」(31.6%)、「言葉は知っているが意味を理解できない」(13.3%)、「言葉も知らない」(6.4%)など、半数超がDXへの取り組みが進んでいない様子がうかがえる結果に。
企業規模別に見ると、「言葉の意味を理解し、取り組んでいる」企業の割合は「大企業」が28.6%と全体(15.7%)を上回っていた。一方で「中小企業」は13%と、DXへの取り組み状況は「大企業」「中小企業」間で15.6ポイントの差がみられた。
業界別に参照すると、フィンテック(FinTech)の活用が活発化する「金融」(25.2%)や、ソフト受託開発など企業のDXを支援する「情報サービス」を含む「サービス」(24.1%)と比較して、「建設」(11.4%)や「農・林・水産」(12.3%)といった業種では高い割合を示していた。
DXに取り組んでいる企業では3社に1社で「本格的なDX」が進む
DXの「言葉の意味を理解し、取り組んでいる」企業が現在取り組んでいる内容では、「オンライン会議設備の導入」(82.7%)や「ペーパーレス化」(77.6%)、「テレワークなどリモート設備の導入」(69.5%)といった、DXの初期段階に関する取り組みのいずれかが企業の97%で実施されていた。また、「既存製品・サービスの高付加価値化」や「新規製品・サービスの創出」、「ビジネスモデルの変革」といった「本格的なDX」に取り組む企業は37.4%と3社に1社であった。
また、現在取り組んでいる企業においては、「デジタル化への対応にともなう業務プロセス・組織の見直し」(39.2%)、「DX推進のための予算の確保」(29.1%)など組織面・予算面での取り組みを推進する企業の存在も。「デジタル人材の育成」(27.4%)や「デジタル人材の採用」(19.0%)といった、デジタル人材の確保に関する取り組みも挙げられていた。なお、「AI活用(チャットボットによる自動化やビッグデータ分析等)」(11.2%)など、AIの活用やビッグデータ分析の取り組みは1割程度にとどまっていた。
半数が「人材やスキル・ノウハウの不足」を指摘
DXに取り組むうえでの課題を尋ねると、「対応できる人材がいない」(50.6%)や「必要なスキルやノウハウがない」(47.7%)など、半数が人材やスキル・ノウハウの不足に関する課題を指摘。すでにDXの「言葉の意味を理解し、取り組んでいる」企業でも、「対応できる人材がいない」は36%、「必要なスキルやノウハウがない」は32.7%と3社に1社で課題となっていた。
また、現在DXに「取り組んでいない」企業においては、「対応できる人材がいない」(54.7%)や「必要なスキルやノウハウがない」(52.5%)、「対応する費用が確保できない」(28.3%)、「どこから手を付けて良いかわからない」(17.5%)などの項目で取り組んでいる企業との差が生じていた。