経済産業省は、大企業等で経験を積んだ人材のテック系スタートアップへの挑戦を推進する]「中小企業新事業創出促進対策事業費補助金(スタートアップ向け経営人材支援事業)」をスタートし、社会実装推進センター(以下、JISSUI)は、同事業を「SHIFT(x)」と題し、7件のモデル事業の採択を実施した。経済産業省は、大企業とスタートアップの間でイノベーションの担い手となる人材が行き交い、イノベーション創出のエコシステム構築を目指している。
研究開発をともなうテック系スタートアップは、技術ノウハウと比較して、事業化に必要なノウハウ(営業・広報・マーケティングや、財務・経理・人事・総務等の管理部門の経験、製造プロセス管理、品質管理、許認可申請の知見など)が不足しているケースが多く、大企業でビジネス・マネジメント経験を積んだ人材が活躍するポテンシャルが存在する点が指摘されている。一方、大企業人材にとってはスタートアップで働くことに漠然とネガティブなイメージ持たれる傾向にあるほか、いざ挑戦を決めたのちも情報不足ゆえに最適なスタートアップ企業に辿り着くことができないなどの課題も顕在化している。
一方、実際に大企業からスタートアップへ転職した101人を対象にしたJISSUIのアンケート調査によると、98%以上が「仕事の自由度・裁量が上がり仕事が楽しくなった」と回答するなど、スタートアップに転職したことを「後悔している」回答は101人中1人。「大企業人材がスタートアップへ抱くイメージと、実際にスタートアップへ転職した人々の生の声にはギャップが存在する」ことがうかがえる結果に。
「SHIFT(x)」は、プロボノ、副業・兼業、転職など「スタートアップ挑戦をコーディネートする民間事業者の取り組み」にかかる費用の一部を補助し、好事例の創出・情報発信を行うもの。大企業人材とスタートアップ間のギャップを埋め、エコシステム創出の推進を図る。JISSUIは2021年4月16日から5月20日の間公募を行い、7件のモデル事業を採択した。