産業能率大学 総合研究所は、毎年恒例で31回目となる「新入社員の会社生活調査」の2020年度の結果を発表。新入社員の働く意欲や新社会人としての意識、将来の目標などに関するアンケートを実施し、まとめた。
ここ数年、売り手市場となっていた新卒採用環境だが、今年度は大きく変化。今年度の新入社員に就職活動状況についてたずねたところ、「かなり大変だった」という答えが35.4%となり、2011年度と並んで過去最高となった。一方、就職活動の結果に満足しているかについては、「たいへん満足」が27.8%で過去最低に。ふたつの調査項目から、今年の就職状況が厳しかった様子がうかがえる。
新型コロナウイルスの感染予防対策として注目を集めたテレワークや時差通勤については、新入社員も高い関心を寄せているという。会社にテレワークや時差出勤の制度があった場合に利用したいかをたずねたところ、テレワークについては、「利用したい」と「どちらかといえば利用したい」を合わせて約85%が利用したいと回答。さらに時差出勤についても、両回答を合わせて約94%が利用したいと回答し、どちらも過去最高となった。
また、1ヵ月間に許容できる残業時間をたずねたところ、「1~10時間」が19.2%、「11~20時間」が32.1%となり、いずれも過去最高となった。この結果、「0時間」(1.3%)を含めて、“20時間まで”とする回答が約53%となり、初めて過半数を占めたとのこと。
残業時間が減ることで自由な時間が増えるが、業務時間外に勉強したいかたずねたところ、約91%の新入社員が勉強したいと答えた。このうち、「全額自己負担でも勉強したい」は20.5%で前年度(13.6%)よりも大幅に増加。また、「会社から費用の一部援助があるなら勉強したい」も38.5%で前年度(32.7%)を上回り、自分を磨くためには費用の自己負担をいとわないとの意識が高くなっていることがわかる。なお、勉強したい理由には、「ビジネススキルを磨きたい」(53.6%)や「教養を高めたい」(52.2%)などが上位にきていた。
このような新入社員にとって、会社生活におけるコミュニケーションで自信のない(不安がある)ことは何かをたずねると、「社外に対する電話対応」が82.1%、同じく「社外との対話・面談」が64.1%で、社外との折衝に不安を大きく感じていることが判明。そうしたことから顧客への報告や連絡手段としてもっとも使いやすいのは、「メール」との回答が一番多く、47.4%と半数近くを占めていた。