スモールサクセスの積み重ねで得た営業からの信頼
――マーケティングと営業との連携の必要性を感じたきっかけはありますか?
飯島 MAで成果が出たのは良かったのですが、その勢いがあるときピタッと止まったのです。理由は明確で、マーケティングのプロセスと営業のプロセスが分断されていたからです。Pardotもメール配信の機能しか使っていませんでした。そこで、組織的にもシステム的にも連携を実現し、双方が合意したシナリオを運用しながら、リードスコアリング機能をきちんと使おうと考えましたが、その時点でPardotを使いこなせるメンバーはふたりだけでした。
――それでは少なすぎたのですね。
飯島 当社では常時20以上のキャンペーンを展開していますが、ナーチャリングシナリオはそれぞれ違います。20通り以上のシナリオの開発・運用をふたりではできません。底上げのために、マーケティングに所属する私の部下全員にSalesforceの有料トレーニングを受講してもらいました。さらに、Pardotのユーザー会にも積極的に参加してもらい、優れた使い方をチーム内で共有して、実際にトライしてみる取り組みを進めました。
―― まずはマーケティング側でPardotを使いこなせる人材を増やしたのですね。営業との連携では「信頼してもらう」というスタンスをとったとのことですが、理由をお聞かせください。
飯島 営業とマーケティングとの間には、得てして大きな壁が存在します。我々にも多かれ少なかれそういう部分は存在します。マーケティングと営業の連携を働きかけたところ、「その必要はない」と言われてしまいました。単なる拒絶と言うわけではなく、営業には営業側で行っている取り組みや慣習があったわけです。そこでアプローチを変え、スモールサクセスを繰り返すことで、営業から認めてもらおうと考えたのです。
最初のプロジェクトは、ある営業担当者の「展示会で獲得するリードのフォローをなんとかしたい」という悩み相談がきっかけになりました。そのチームの部長に「すべての名刺の展示会場での電子化」「一両日中のお礼メール送信」「メールを開封した人に、インサイドセールスから電話」をすべて私たちマーケティング側で行うと提案したところ、快諾してもらいました。結果は、今までの取り組み方ではフォローできていなかったようなところから、累計約1億円の案件を獲得。しかも展示会終了後90日以内にです。
その後は営業の予算会議や朝会に出向いて成果を報告し、「おかげさまでこんな成果が出ました。興味がある方は声をかけてください」と呼びかけ、社内での成功体験を増やしていきました。