IBMは、エージェントの構築、運用、管理を支援する包括的なエージェント機能群を発表した。

AIエージェントは対話型インターフェースを介したインタラクションを可能にする。ユーザーは目標を設定するだけで、エージェントのネットワークがバックエンドの企業システム全体で必要なアクションを実行。さまざまな人がAIを活用して、人事、財務、IT、カスタマー・サービスといった部門の複雑なタスクを自動化し、洞察を得て、生産性を向上することが可能になる。
しかし、それを実現するためには、複雑なエンタープライズ・テクノロジー・スタックを支えるアプリケーション、データ、システムの中で、エージェントがシームレスに動作できなければならない。
このような背景からIBMは、企業が持つデータを活用して、さまざまなインフラストラクチャー上のどのようなテクノロジーでもエージェントを活用できるように支援するため、エージェントの構築、運用、管理を支援する包括的なエージェント機能群を発表。watsonx Orchestrateを通じて提供する。
- 事前構築済みエージェント:特定のビジネス領域やユースケースに対応した機能とシステム連携を備えている。
- 独自のエージェントを構築:容易にエージェントを構築できるノーコード・ツールから、開発者向けのプロコード・ツールまで、エージェントの構築、カスタマイズ、デプロイのプロセスを簡素化する。
- エージェント・オーケストレーション:複数のエージェントを統合し自動化することで、複雑なタスクに対応し、エージェントとアシスタントがさまざまなツール、データソース、インフラストラクチャーで連携できるようにする。
- エージェントのオブザーバビリティー(可観測性):企業全体のエージェントの使用状況を検出、監視、最適化し、信頼性、パフォーマンス、効率性を向上させる。
事前構築されたエージェントとツール
IBMは、生産性向上の主要なターゲットであるビジネス機能において、特定の専門知識と性能を備えた事前構築済みエージェントを提供する。最初に導入される領域特化型エージェントは次のとおり。
- IBM watsonx HR エージェント:人事向けのエージェントで、現在利用が可能。一般的な人事システムや人的資本管理アプリケーションと統合し、休暇管理、プロフィール更新、休職、福利厚生などの従業員サポートのワークフローを自動化することができる。
- IBM watsonx Procurement エージェント:調達向けのエージェントで、SirionやDun & Bradstreet(※)などのツールと統合し、調達から支払い、サプライヤー評価、ベンダー管理プロセスなどの調達ワークフローを合理化するように設計されている。
- IBM watsonx Sales エージェント:営業向けのエージェントで、Salesforce、Seismic、Dun & Bradstreet(※)などのテクノロジーと連携し、営業プロセスの自動化、新規見込み客の特定、適格なリードの発見とアプローチのサポート、リサーチとイネーブルメントの最適化を支援する。
今後は、カスタマーケアや財務領域に特化したエージェントを追加展開する予定。また、ウェブ調査や計算のようなタスク向けの一般的なユーティリティー・エージェントも開発している。
IBMやほかのベンダーのエージェントへのアクセスを簡素化するために、watsonx Orchestrate(※)のAgent Catalogを発表した。IBMやパートナー企業のエコシステムから提供される構築済みツールやエージェントにアクセスするための出発点として機能する。初期の例として、見込み客開拓と販売コンバージョン率向上のためのツールと知識を販売者に提供するSalesforceの販売見込み客開拓エージェントや、Slackの対話型インターフェースを介して従業員からの問い合わせに対応する、Slackに組み込むことができる人事エージェントなどがある。
※パブリック・プレビューで利用可能、6月に提供開始予定