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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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SalesZine Day 2025 Summer

2025年7月24日(木)13:00~18:20

図解でわかる! 共創型営業を実現するセールスイネーブルメント

「商談後ノーレス」に悩んでいませんか? 顧客と共創するための商談プロセスの設計


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 営業組織を強化するための「仕組み」をつくる企業が増えてきています。一方で、その仕組みがなかなか大きな成果につながっていないと感じている組織も多いのではないでしょうか。本連載「図解でわかる! 共創型営業を実現するセールスイネーブルメント」では、スタートアップ4社で10億円以上の受注実績を持つグロース請負人・鈴木純太(ジェイ)さんが、実際に活用している「営業モジュール」を交えながら、成果につながるセールスイネーブルメントの手法を具体的に解説していきます。

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前回(第1回)記事

多くの営業を悩ませる「商談後ノーレス」

「商談後に案件が進まない」という状況は多くの営業担当者が抱える共通の悩みです。たとえば、商談後にお礼と共に資料を送ったものの返事がこない。フォローの電話をかけても留守電につながるだけ。気まずさを感じつつ「検討状況はいかがでしょうか?」と再度メールを送っても、返事はない──。

 このような状況を 私は「商談後ノーレス」 と呼んでいます。ノーレス(no-response)とは、文字どおり「返事や反応がない」ことを指し、商談中に手応えを感じていたにもかかわらず、突然沈黙が続いてしまう状態です。この状態に陥ることは営業担当者にとって大きなストレスです。相手の反応を待つことしかできない無力感が、営業のモチベーションを大きく削いでしまっているのではないでしょうか。

「商談後ノーレス」が起こる3つの原因

「商談後ノーレス」が起こる背景には、“進め方の設計不足”があります。営業担当者は、「どうテンポよく話すか」「どうスマートに魅力を伝えられるか」など自身の商談の進め方に注力している一方、「どのように顧客と商談を一緒に進めるか」の設計ができていないケースが多いです。

 営業担当者が一方的に話を進め、顧客はただ“聞いて判断する側”にとどまってしまっている。このようなかたちでは、商談が途中で止まってしまうのも無理はありません。商談停滞を引き起こす3つの原因を見ていきましょう。

原因1:顧客の「目的」や「意志」が明確になっていない

 商談が停滞する大きな原因のひとつは、顧客が提案内容を“自分ごと”として捉えられていないことです。営業担当者が一方的に説明や提案をしても、顧客の中で「なぜこれを導入するのか」「何を実現したいのか」が曖昧なままでは、意思決定に向けた動きは生まれません。

 重要なのは、顧客が自身の課題や目指す状態を言語化し、「これは自分たちのプロジェクトだ」と腹落ちすることです。たとえば、「次回までに私たちで課題を整理してみます」「社内で◯◯をヒアリングしてきますね」といった、自発的な動きが生まれる状態をつくること。顧客の意志を引き出し、主役になってもらう対話の設計が求められます。

原因2:共通の基準や評価軸が共有されていない

 営業担当者と顧客の間で「共通の基準や評価軸」が設定されていないことも、大きな要因です。顧客にとって、契約はゴールではありません。本当に求めているものは、導入後の成果やビジネスインパクトです。しかし、その指標や評価基準が明確に共有されていないと、提案内容が価値あるものかどうか判断できません。結果として、顧客の意思決定が遅れ、商談が停滞してしまうのです。顧客と共通の基準を持つ視点が必要です。

原因3:顧客が“動ける”構造が用意されていない

 もうひとつの停滞要因は、商談プロセスの中に、顧客が具体的に関与できる「仕組み」や「手順」が欠けていることです。営業担当者が提案を一方的に提示するだけでは、顧客は受け身になり、行動にはつながりません。

 たとえば、「一緒に理想像を言語化するワーク」や「現状課題の優先順位を整理するシート」など、顧客自身が手を動かし、考えながら進められるような設計が重要です。こうした顧客を巻き込みながら進行する視点を持つことで、顧客の関心や当事者意識が高まり、商談が前に進みやすくなります。

 営業担当者がどれだけ優れた提案を行っても、顧客がプロセスに参加できる仕組みがなければ、その提案は一方通行に終わります。 つまり、「顧客を主役に据える視点」「共通の基準を持つ視点」「顧客を巻き込みながら進行する視点」 が欠けていることで、商談は停滞し、「商談後ノーレス」に陥ってしまうのです。

 これらの視点を取り入れ、商談プロセス全体を再設計することができれば、停滞を打破し、顧客との共創によって商談を前に進めることが可能です。

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自社製品の魅力にとらわれていませんか? 顧客を主役にする方法

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図解でわかる! 共創型営業を実現するセールスイネーブルメント連載記事一覧
この記事の著者

株式会社StartPass 事業開発部 部長 鈴木純太(スズキ ジュンタ)

デザイナーからキャリアをスタート。27歳から営業をはじめ、KDDIグループのmedibaに売却した株式会社AppBroadCastで営業を担い、売却までの売上を牽引。その後、朝日新聞社アクセラレータープログラムでの営業講師など、スタートアップの営業を数多く支援。スタートアップ4社で10億円以上の受注実績を持つグロース請負人。株式会社RocketsでCSO(最高戦略責任者)を経て、現在は個人でスタートアップの営業支援をしなが...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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