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to be ONE TEAM ともに「売上」をつくるマーケティングとセールス

2024年10月16日(水)13:00~17:35

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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企業側が定義するカスタマーサクセスは虚構? 820万人のユーザーと真摯に向き合い続けるりそなに学ぶ

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「前のUIが良かった」顧客からの過去最大の反応にどう応えた?

高橋 直近でも大きなリニューアルを行ったとうかがっています。その際に出てきた顧客の声の話をぜひお聞かせいただけますか。

熊倉 過去最多のお客さまの声を受け取ったリニューアルでした。もともと月間の入金・支出のグラフが横スクロールで見えるUIを提供していたのですが、ユーザーが増える中で高い負荷がかかってしまっていました。それ以外にも、さまざまな機能を追加したことで「直感的に3タップで見たいものを見られるアプリ」というコンセプトから離れそうになっている部分もありました。トレンドも踏まえつつ、シンプルなUIに回帰するためのリニューアルを実行することになったのです。

熊倉 無事にリニューアルが完了したものの、お客さまからたくさんの否定的なご意見をいただいたのが、先ほどの横スクロールのUIについてです。ユーザーの利便性とサービスの負荷を加味して、縦スクロールにして速度を上げたのですが、「直感的に月ごとの状況を比較できた前のUIが良かった」というコメントをたくさんいただきました。2週間強でホームページに書き込みが50件超、Twitterの書き込みは300件を超えました。

 その時点でアプリは750万ダウンロードされていましたから、ユーザー数を考えれば当然の反響量でもあるものの、コアなお客さまからの生々しいご意見にわれわれも心を痛めました。銀行のホームページに書き込みがあることなんてめったにないんですよ。しかも本名でしっかりと言葉を伝えてくれるお客さまもたくさんいらっしゃいました。

 結論から言うと、改善をしました。1タップははさむものの、これまでのように各月を直感的に比較できるレポート機能を用意したのです。一方で、アプリをリニューアルするということはそういうこと──つまり銀行員に加えエンジニアやデザイナーなど検討の中核を担った作り手からすれば、合理的かつ新しいUIを世の中に出し、ユーザーに慣れてもらうのもひとつのあり方ではないかという声が上がりました。

熊倉 喧々諤々の議論のなかで、「私はお客さまの要望にはしっかり向き合いたい」という正直な思いを真正面からメンバーにぶつけ、最終的にはメンバーの理解を得ることで改善を行うことになったのです。それは、りそなのポリシーとして今回のお客さまの動きや心に真摯に向き合いたかったからです。

 目指すゴールはみんな一緒だと思っています。もしかしたら今回の対応はそのゴールに対して回り道をしたかもしれません。これまでデータの重要性を強調してきたにもかかわらず、今回は感覚的な判断で動いているように映るかもしれません。それでも、変えて良いものと変えるべきではないものってあるんですよ。りそなという会社の経営方針を変えるべきではありませんし、なぜりそなが存在する必要があるのか──りそなの根幹にあるお客さま第一主義というDNAは継承していくべきだと思うんです。

高橋 お客さまの声をどう扱っていくか──難しい課題ですよね。回り道とおっしゃっていましたけど、お客さまからすれば、まっすぐに向き合ってもらえていると感じると思います。りそなさんとお客さまとの向き合い方が良く伝わってくる事例でした。

KPIばかりでは曲がってしまう カスタマーサクセスと「育成」

高橋 あらためておうかがいさせてください。熊倉さんにとってのカスタマーサクセスってどのようなものでしょうか。

熊倉 お客さまの成功はわれわれには定義できません。お客さまの成功に向かって努力する行為そのものがカスタマーサクセスではないかと考えています。そうとらえれば自ずと優先順位が決まってくる。KPIばかりを見ていると、どこか曲がってしまう。正解ではないけれど、常にベストエフォートだったか振り返る。これがとても大事ではないのかなと。

高橋 熊倉さんのそういった思いの源泉はどこにあるんでしょう。

熊倉 かつてりそなには厳しい時代もありました。そのころの経験が原点かもしれません。改革を行うために本社側の立場で店舗に出向いたときに、入社数年めの女性が私の姿を見て青い顔で震えていることがありました。もちろん、会社を良い方向に変えようという思いで「あなたの力が必要だ」と伝えるために訪れています。それでも相手にとっては不安でしょうがない。「会社を変えるって、何かを変えるってこういうことだ」「多くの人の人生を背負っているんだ」と理解しました。

 お客さまのためにも会社は常に変化しなければなりません。100%は救えないとしても、なるべく多くの人を救うために尽力すること──これが変革を担う者の使命だと感じました。実は、特別カスタマーサクセスに興味があったわけではないのですが、より良い社会、会社のために最大限何かを変えていきたい。そのために会社にとってもっとも大切なのがお客さまとの接点で、そこが私がカスタマーサクセスに取り組むきっかけとなった糸口となったというような感じでしょうか。

高橋 カスタマーサクセスのみならず、あらゆるツールが登場し、優秀なパートナー企業もたくさんいる中で、1人ひとりの社員が組織の一員として果たすべきことは何か? という問いに対しても今日のお話は非常に参考になると思いました。

熊倉 カスタマーサクセスが、お客さまの成功のためのプロセスにコミットする役割だとすれば、人材育成がすべてなんですよね。実践との結びつきも重要ですから、メンバーから上司まで全員で目線を合わせるための研修を実施し、共通言語をつくるような取り組みもしています。

 少し話はずれるかもしれませんが、給与だけで人をつなぎとめられる時代でもありません。お客さまのための仕事を楽しく実行できて成長できる環境を用意することが、採用・育成においても重要なんです。

高橋 カスタマーサクセスな文化が、働く人材にとっても重要というのは間違いないですね。本日は赤裸々にお話いただき、ありがとうございました!

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この記事の著者

SalesZine編集部 宮田華江(セールスジンヘンシュウブ ミヤタハナエ)

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