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買い手が相談できる購買AI「InsidesalesAI」とは
茂野(インサイドセールスプラス) 「InsidesalesAI」は問い合わせに対応するインサイドセールスの仕事をAIに置き換えたものです。BtoBのセールス・マーケティング領域における相談を買い手から投げかけることができます。自由記述、音声入力も可能です。
茂野 たとえば、「ターゲットリストが足りない」という悩みを共有すると、「あなたの役職を教えてください」とAIからの問いかけが返ってきます。「手法はアウトバウンドかインバウンドか」「ターゲット企業は大手か、中堅、スタートアップか」とヒアリングを続けて、メディアに掲載されている最適なツールがおすすめされていきます。
顧客とのやりとりをある程度フレームワーク化してトレーニングすることは皆さんもあるはずです。このように、言語化できるものは概ねAIに代替されてしまいそうですよね。
「いちから自分でやる人」と、「8割AIに任せる人」の使える時間は大きく変わります。もっと言えば、AIを使いこなしている企業と、使いこなしていない企業でチャレンジできる施策の幅も変わってくるでしょう。500万円で雇っていた10人のインサイドセールスの仕事をAIが代替すれば、その5,000万円をマーケティングや、セールスの採用、別のシステムの導入に投資できるかもしれない。
功刀(miibo) 一部の仕事は実際にAIに代替され始めていますね。私が支援しているとある企業では、自社のカスタマーサポート業務の一部をAIで代替し、そこで得られた知見をもとに「企業のカスタマーサポート業務をAIで支援する事業」をスタートしています。AI活用によって生まれた時間で新しい事業をつくり、新しい売上をつくり始めた好事例です。
茂野 従来のカスタマーサポートはコストセンターととらえられることもありますが、AIに投資してむしろ利益を生み出し始めている。素晴らしいですね。そのほかに、どのような業界で活用が進み始めていますか。
AI相手なら見栄を張らずに済む⁉ コストも10分の1に
功刀 エンタメや不動産業界での活用が増えています。エンタメは芸能人の方をAI化するようなものというとイメージがわくでしょうか。共通するのは、「ユーザーのインサイトを深く掘り下げて最適なものを提供したい事業」という点。人力かつ、マンツーマンで対応する必要があったものが、24時間AIで対応可能になっています。
茂野 芸能人の方や、不動産営業の方などをイメージすると、「顧客接点のインターフェースとしてはまだ人間が強い部分もあるのでは?」と思われるかもしれません。しかし、考えやノウハウをAIに詰め込むことで、ある意味「キャラクター」の部分も表現できるようになっていますし、対応できる時間や量はケタ違いになっていきますよね。
InisidesalesAIを活用している方からのフィードバックでおもしろかったのは、「なにを聞かれてもあまり嫌じゃない」というもの。人ではないからこそ、課題を特定、指摘されても意外とすんなり受け入れられるそうです。
功刀 人間味があるほうが良いパターンも、AIが良いパターンもありますね。不動産領域では、人の接客だと家賃の目安を多めに伝えてしまう人がいるという話がありました。
茂野 おもしろいですね。本当は5万円で押さえたいけど、つい「8~9万出せます」と言ってしまうような(笑)。
功刀 結局車で内見を済ませたあとにリアルな数字で落ちつくという……無駄じゃないですか(笑)。それが、AI相手には見栄を張らずに言えた、という事例があるようです。
茂野 「AIなんて味気ない」という感覚もあるかもしれませんが、ならではのメリットもある。答えは誰も持っていないのでトライ&エラーをしていくしかないですね。これまでの10年、営業支援システムやMA上でAIを試そうと思ったら、金額面でも、期間の面でもかなりのコストを要したと思います。
これからの10年はより早く、安価にできていくはず。miiboさんでAIを試すとしたら、いくらくらいからスタートできますか。
功刀 試すだけなら無料ですね。ビジネスで活用するものも、数万円のサブスクリプションで自前で構築いただけますし、開発を外注いただく場合でも、数百万単位ですかね。
茂野 コストはかつての10分の1くらいになっていますね。