既存顧客からの収益が2倍に増加! SuccessHubの活用事例
岩熊氏は、SuccessHubの主な特徴として、次の3点を挙げた。
1.顧客データ統合による全体像の把握と分析
SalesforceやHubSpot、Googleスプレッドシート、MySQLといったさまざまなデータソースをノーコードで統合することができる。たとえば、契約金額や導入している製品・サービスの種類、活用している機能といった情報はSFA/CRMから取得できる。これに加えて、前回更新時からどのくらいの期間が経過したか、活用状況や消化率はどうか、困りごとや過去のやり取りといった既存顧客に関する情報も一元管理できるようになる。
「既存顧客の情報は新規顧客にくらべて数が多く、あちこちに散逸しがちです。SuccessHubに集約することで、既存顧客の現状や、次はいつ何に困りそうかをモニタリングできる体制を整備します」(岩熊氏)
2.自動アラート機能によるタイムリーな顧客対応
設定したルールに基づいて自動的にアラートを発信し、適切なタイミングで顧客対応をうながす。
「自分でデータを収集して既存顧客の現状や変化を読み取り、その都度適切なアクションを考えるのは非常に大変です。この点をSuccessHubで自動化することで、担当者の負担を減らすとともに、抜け漏れのない適切なアクション管理が可能になります」(岩熊氏)
つまり、前述の「サブちゃん営業」のように、顧客が必要とするタイミングで適切な提案や支援を容易に行うことが可能になる。結果として高い成約率に結びつき、営業コスト全体を押し下げることができるというわけだ。
3.個別メッセージ配信による顧客エンゲージメントの強化
SuccessHubは、顧客データに基づいてパーソナライズされたメッセージを効率的に配信する機能を持つ。メールに限らず、SlackやChatworkなど、普段活用しているコミュニケーションチャネルでも連絡することが可能だ。
「一括で送るメールマガジンと違って、相手の会社名だったり、担当者の名前だったり、場合によっては本文も1社1社チューニングして『御社向けのご案内があるのでご覧ください』というようなメッセージ差し込み、一括で送信することができます」(岩熊氏)
この機能により、多数の顧客に対して個別化されたコミュニケーションを効率的に行うことが可能になる。顧客は「全体に向けた1対多」のメッセージよりも、自分の状況に対して絞り込んだメッセージを受け取ることで「今ちょうどそれが欲しかった」「興味があって気になっていた」という良いタイミングを刺激される。
岩熊氏はSuccessHubの導入効果について、ユーザー企業における具体的な数字を挙げて説明した。
「データ収集やネクストアクションを決める社内ミーティング、1社1社に個別連絡するといった月次の作業時間を約25%削減できました。25%削減ということは、1日8時間、月160時間稼働する場合、40時間も作業時間を削減できます」(岩熊氏)
こうして創出した時間も活かし、既存顧客からのアップセル/クロスセルを増やすことにも成功したという。
「先ほどお話しした個別メッセージ配信により、既存顧客のアップセル/クロスセルを目的としたマーケティング活動の参加率反応率もぐっと上がり、既存顧客から得られる収益が従来の2倍に増加しました」(岩熊氏)
今後、競争激化により新規顧客獲得が困難になる中、データドリブンな既存顧客営業の実践が、企業の成長を左右するのは間違いない。その際、SuccessHubを活用することで、既存顧客営業の効率化と収益向上を同時に実現することが期待できるだろう。