カスタマーサクセスを組織にどう組み込んでいくか
カスタマーサクセスは幅広い企業に必要な取り組みであり、組織として戦略的に取り組むべきであることは第1回でお伝えしたとおりです。第1回では、ひとつめの法則「組織でのゴール設定」の手法について解説しました。今回は、ふたつめの法則「組織と役割・予算を策定」、そして3つめの法則「適切な指標を設計」について解説していきます。
事業成長を促す「カスタマーサクセス組織設計」に必要な6つの法則
まずは、「組織と役割・予算を策定」について解説していきます。カスタマーサクセスを組織に組み込むためには、「人」と「役割」と「組織設計」の3つが求められます。「人」はカスタマーサクセスを牽引するリーダーの存在です。「役割」は、契約移行のプロセスを定義し、対応するチームを定義することです。ここには、カスタマーサクセスの活動の結果、生まれる商談のオーナーシップを誰が持つかも含まれます。
次の図が、「カスタマーサクセスプロセスにおけるオーナーシップの再定義」を提案するものです(なお、役割分担は各企業の商材の特性、ターゲットする市場などによって異なるため、あくまでもサンプルです)。
図にあるとおり、カスタマーサクセスチームが新規商談の成約前から関わり、その後、拡大案件の成約までの幅広い分野に関与することが理想です。一部は営業組織などとも重なり合います。オーナーシップの再定義となると、それぞれの分野の境界線を厳格に決めがちですが、組織を回していくうえではお互いが作用しあい、理解を深められる余地を残すことが重要です。この点については後半で詳しく説明します。
そして3つめとなる「組織設計」ではどのリーダーの配下にカスタマーサクセス部門を置くかが肝となります。次の図で3つのパターンをご紹介しています。
大きな企業で複数の事業が独立している場合は、CEOを各事業の責任者と読み替えてください。スタートアップであれば、「CEO直下型」が多いでしょう。多くの企業で適用しやすいのは、中央の「CCO(Chief Customer Officer:最高顧客責任者)配下型」かもしれません。ここで重要なことは、営業部門の責任者とCCOが同等の関係を持つことです。
最後はPLG(Product Led Growth:プロダクト主導型)でよく見かけるケースで、CRO(Chief Revenue Officer:最高収益責任者)の下にCCOが入るイメージです。このケースではCROが新規・既存のすべての売上の責任を持ち、短期・中長期のバランスをとりながら、自社の事業の売上の最大化を担っていきます。
それぞれのパターンについて、詳しく解説していきましょう。ご自身の会社や事業にあてはめて考えてみるとより理解が深まるはずです。