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営業の仕事は「売る」ことなのか? 「Buyer Enablment」をめぐる冒険

2024年7月12日(金)13:00~18:20

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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事業成長を実現するカスタマーサクセス、6つのステップ

「ヘルススコア」の設計はなぜうまくいかないのか? CS Opsの必要性と組織拡大への道筋

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 カスタマーサクセスプラットフォーム「Gainsight」の代表取締役社長 絹村悠さんが「事業成長を実現するカスタマーサクセス」の手法を解説する本連載。第3回となる今回は、カスタマーサクセスにおけるプロセス構築の中心である「カスタマージャーニー」「ヘルススコアとセグメント設計」および、セグメントごとに異なる「顧客接点の手法(ハイタッチ・ミドルタッチ・ロータッチ)」を解説。加えて、カスタマーサクセスをスケールさせるために必要なCS Opsについても教えてもらいます。

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「ヘルススコア」の設計・活用はなぜうまくいかないのか?

 ここまで現在のビジネスでは既存の顧客との関係性維持がますます重要になっており、そのためにカスタマーサクセスの概念や組織が必要になってくることを説明してきました。単なる製品・サービスを売り切って終わりではなく、顧客が実際に自社の製品・サービスを通じて成功をするまでを伴走支援していく必要がある時代です。

 ただ、現在の顧客の状態がわからないと、闇雲に顧客と会話することになります。また、現在の状態を確認するプロセスも必要になります。もちろん、自社のリソースは有限であるため、支援が必要な顧客を的確に捉え、リソースを有効に活用することが求められるでしょう。そのために、顧客の状況をデータで捉え、可視化することが有効なアプローチとなります。

カスタマーサクセスの組織を生み出し、事業成長を促す6つの法則。今回は4つめの「顧客の状態を可視化」から5つめ「新たなプロセスの策定」、そして6つめの「取組を拡大させる」について解説

 顧客の状況の可視化のために、カスタマーサクセスの業務では“ヘルススコア”を活用します。言葉のとおり、顧客の自社サービスの利用状態に対する健康状態を可視化したものを指します。ヘルススコアを設計する際に押さえておきたいのは、「最初のヘルススコアは、データに基づいたインサイトからではなく、人の実体験に基づいてつくる」ことです。

 一見、前者が正しく見えますが、データからの気づきをヘルススコアで表現しても、それが現実の実感とあっていなければ人は行動に移りません。これは私自身も営業マネジメントの経験などを通じて痛感してきたことです。データだけで人は動かないのです。

 まずは、自分たちが持っている感覚を整理することに注力しましょう。成功したと思える既存の顧客に注目し、顧客がどのようなプロセスを経て成功したかを言語化していくのです。同時に、解約されてしまった顧客や成功できなかった顧客についても、いつ、どのようなタイミングでリスクを感じたかを言語化していきます

 そして、これらの情報をデータで表現したらどうなるのか、という考え方でヘルススコアは設計していくのです。現場知見や有形化できていない体験知を集約していくことになるでしょう。これは現場を巻き込むことにつながり、ヘルススコアを現場のカスタマーサクセスマネージャー1人ひとりにも自分ゴト化させる仕組みにもなります。あまり複雑化せずに、まずは容易に取得可能なデータでシンプルにスタートしましょう。

 同時に、ヘルススコアの変化に基づいて、取るべきアクションを設計していきます。ヘルススコアの活用にはいくつかの目的が存在しますが、まずは人がアクションをとるためのトリガーとしての役割に集中することをおすすめします。

 逆に言うと、ヘルススコアが、更新率の予測に対してどの程度の信頼性があるかは、はじめのタイミングではそこまで重要ではありません。信頼性を追い求めると変数を増やし、複雑なロジックを考える必要があり、結果として新しいプロセスをスタートさせることができません。

 シンプルなヘルススコアとアクションを設計したら、検証をしていくプロセスに入ります。果たしてこのヘルススコアは顧客の状態を正しく捉えているのか、また、リスクのアラートの数が多すぎず適切に保たれているか、といった点をチェックし、しきい値を調整していきます。

 ある程度のスコアのベースが完成すれば、より高度なヘルススコアの設計を行います。設計にあたり、GainsightはDEARフレームワークを推奨しています。これは顧客の健康状態を測るにあたり、「Deployment」「Engagement」「Adoption」「ROI」の4つの視点で網羅的なヘルススコアを生み出す手法です。

定量的なデータを活用したDEARフレームワーク

 ここまでくるとヘルススコアはカスタマーサクセス部門だけが見るものではなく、営業はもちろん、経営陣も目を向けるべき情報となります。できるだけシンプルに可視化し、組織全体に浸透させていく工夫が必要になります。たとえば、ドリルダウンができたり、時系列で変化が見られたり、可視化をデザインしていくのです。そうすることでみんなが見たくなるヘルススコアが生まれます。

 繰り返しですが、ヘルススコアは見るだけでは意味がありません。そのスコアに応じて組織の人々が動かなければなりません。そのために多少の間違いがあっても、みんなが感情としてスコアを信頼して動けるかどうかという設計が求められます

次のページ
顧客のセグメント設計のポイントは? ハイタッチにも「デジタル」は必要

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この記事の著者

Gainsight株式会社 代表取締役社長 絹村悠(キヌムラ ハルカ)

1978年生まれ。大阪市立大学卒業後、日本ヒューレット・パッカード(現日本 HP)に入社。大手法人向け営業を経て、 BtoB E コマース事業の事業リードとして、デジタルマーケティングを中心としたリード獲得による顧客開拓から定着までのプロセスを実装。 その後、2016年にTableau Japanに...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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