ChatGPTを営業活動に活用するメリット
ChatGPTは、OpenAI社によってリリースされたアプリ。有料プランのユーザーはChatGPT-4が、フリープランのユーザーはGPT May24が最新で、対話形式でユーザーからのリクエストに回答していくスタイルのものとなっている。自然言語の理解および文字情報の生成ができるAIとして、現在注目されている。
文字情報を処理対象とするため、画像や動画、音楽などを生成することはできない。しかし、検索や翻訳、文章作成、要約、文章の添削、適切な関数の選択、アイデアの提案などができる。
このような特徴を持つことから、ChatGPTは、営業活動のクオリティを上げるために活用可能だ。具体的には、以下のようなものが考えられる。
- メールなど文章作成にかかる時間の短縮
- 競合他社や製品・サービス情報の収集、検索の効率化
- 商品のキャッチコピー作成
- トークスクリプトの作成や営業トークのブラッシュアップ
- 社内の会議資料や議事録、営業報告書の作成 など
営業活動のクオリティを上げる!ChatGPTの活用術5選
ここでは、前章で取り上げたものを詳しく紹介する。
メール作成
営業活動の中でも、重要な役割を占めるのがメールによるコミュニケーションだ。会社案内や製品・サービス案内を送るのをはじめとして、アポイントの獲得や日程調整、商談やプレゼン用の資料送付、見積書、契約書、発注書、請求書など、メールでのやりとりは実にさまざまなものがある。
メールのタイトルや本文は、用途ごとにほぼ内容が決まっていてテンプレート化できる。しかし、ウェブ上に公開されている例文をそのまま引用するのは避けたほうがいい。このように例文を少しアレンジしたいとき、ChatGPTが役に立つ。例えば、「商談の日程調整メールを作成して」と指示を入力すると、件名を含めて実用的な例文が瞬時にできあがるという具合だ。
このほかにも、セミナーや展示会などに参加してもらったお礼や営業の進捗に応じたフォローやお伺いのメールなどもあるだろう。メールのテンプレート作成はChatGPTに任せ、自分はアレンジだけ担当するという分業体制を取ると、毎回自分で作文するより時間や労力の面で効率的だといえる。
製品の特長や評判をまとめる
自社製品・サービスの特長や他社製品・サービスとの比較を顧客に提示するのも、営業の大切な仕事のひとつだ。その際に重要なのがなるべく客観的に比較することだといえる。機能や性能、価格で比較するのはもちろんのこと、評判や評価という顧客からのフィードバックを添えると情報に厚みを持たせられる。
このようなときにはChatGPTを活用しよう。比較したい製品やサービスの機能をある程度絞り込み、「A社とB社の、この製品のこの機能を比較して」や「A社製品の過去10年間の新機能を調べて」と入力すると、具体的な回答を得られやすい。価格についても「この製品の〇〇での販売価格で最安値と最高値を教えて」のように具体的に指示するのがポイントだ。
ユーザーレビューが一般的にどこに掲載されているかについてもChatGPTは回答してくれるので、競合他社製品のどのような点がユーザーレビューで高評価を受けているのかについても調べておくと、顧客への提案やプレゼン資料を作成する際に参考になるだろう。
キャッチコピーやキャッチフレーズの作成
顧客に製品やサービスを一言でわかりやすく伝えたいが、なかなかいいのが浮かんでこないということも営業活動の中ではあるだろう。そのようなときも、ChatGPTを活用するといい。まずは、ストレートに「〇〇(製品・サービス名)のキャッチコピーを考えてください」と依頼してみよう。
もっとアイデアが欲しいときには、「〇〇の特徴を一言でまとめて」のように依頼してもいいし、「〇〇が持つ、類似製品にない特徴とは」のように、ほかの製品との比較で浮き彫りになる特徴的な部分を言語化してもらう活用方法もある。挙げてもらった特徴を参考に、うまく言葉にまとめていく作業を人間がやればいい。
要約はChatGPTの得意分野なので、さまざまな角度から質問してみるといいだろう。なお、「ChatGPTのキャッチコピーを考えて」と入力してみたところ、次のような回答があったので参考にしてほしい。
「会話のプロ、知識の宝庫、あなたの賢いパートナー」
商談シミュレーションや営業トーク改善点を指摘
営業の新人にとって、顧客との商談でうまく話せるかどうかは、営業のパフォーマンスに影響する重要な課題だといっていいだろう。ChatGPTなら、営業でのトークスクリプトの作成やトークのシミュレーション、改善点の指摘を依頼可能だ。つまり、ChatGPTを相手に自社製品を売り込む自主練習ができる。
トークスクリプトについても、製品情報を収集するときと同様に、どのような製品をどういう目的でどのような顧客に売り込むときのトークスクリプトなのかを細かく指定すると、状況に応じたトークスクリプトが生成される。それをまとめ上げれば、挨拶からクロージングまでのトークスクリプトの完成だ。
自分から社名と氏名、立場(顧客または営業)を名乗って会話を始めると、商談相手になってくれる。自分の思うように進めていくと、どのような結果になるか確かめてみよう。なお、商談の進め方についてのアドバイスもしてくれるので、商談結果が思わしくなかった場合の振り返りや改善にも活用できる。
会議資料や議事録・報告書作成
営業には、さまざまな会議や報告がつきものだ。営業会議や企画会議などの会議に使う会議資料、営業日報、顧客ごとの進捗報告、中長期の営業課題や実績の推移など、数え上げればきりがないだろう。顧客へのアプローチやフォローに注力するなら、社内業務の効率化が不可欠だ。
このような場合にも、ChatGPTが役立つ。例えば営業日報なら、商談中に控えておいたメモや共有ツールなどに保存しておいたメモ書きをChatGPTに入力して、文章にまとめてもらうこともできる。それに対して、メモではなく文章を入力して要約を求めることも可能だ。
その際に大切なのは、「この資料の目的は、〇〇プロジェクトの進捗報告と課題の洗い出し、解決策の提示」などのように、具体的に指示すること。資料や議事録、報告書に必要な内容はもちろんのこと、内容の改善点を求めて完成度を高めることも可能だ。
営業活動でのChatGPT活用の注意点
ここまでChatGPTを営業活動に活用する方法を見てきた。しかし、ChatGPTの活用には、いくつかの注意点があるので、最後に確認しておきたい。
- リアルタイムのデータにアクセスできない(学習データが2021年9月まで※2023年5月時点)
- 情報の真偽の確認ができない
- 顧客データのプライバシーに配慮する
ChatGPTの学習データは、2021年9月までのものだ。したがって、リアルタイムの情報はもちろんのこと、2021年9月以降のデータは学習していない点に注意が必要となる。学習データに私見が含まれている可能性があり、また最新の情報を参照できないため、人間の手による事実確認が必須。顧客データは個人情報を取り扱うこともあるため、プライバシーや秘密保持契約などの観点から、データを学習させない設定をするなどの配慮も不可欠となる。
しかし、ChatGPTが得意な作業を任せることで、人間の生産性が上がることは間違いないといっていいだろう。ChatGPTを適切に活用して営業のコア業務に集中し、顧客体験を改善・向上させ、営業成績をアップさせよう。