攻守のタイミング見極めに必要な“企業情報”の収集
CSの“守り”のための対応は、時に“攻め”のきっかけにもなりうる。その指標となるのが「取引額の増加」と「売上規模の拡大」だ。たとえば、その業界景気の向上に加え、利用状況や問い合わせ数、ホームページへのアクセスの増加があれば、「取引額の増加」の可能性を捉えることができ、また資本金やグループ情報、合併情報、プレスリリースなどの情報から「売上規模の拡大」の機会を知ることができる。逆の情報が得られたら、解約の恐れがあるものとしてさらに効果的な“守り”のための対応を考える必要があるというわけだ。
そうした優先順位や攻守のタイミングについて、湯浅氏は「いつ、誰に、何を案内すべきかを可視化することが大切」と語る。しかしながら、1社1社に“刺さる”機能や状況、背景なども時間に応じて変わってくる可能性があり、それらの情報収集には時間がかかるのも、悩ましい問題だ。そこでユーソナーでは、自社ツール「sideSonar」で顧客企業に紐づく情報を一覧化し、アプローチのためのきっかけを見つけることに役立てているという。
情報源は、類似企業や系列、事業所などを集めた法人企業マスターデータベース「LBC」に加え、属性や企業の傾向、登記簿情報などの「企業情報」、最新ニュースや人事異動、有価証券報告書や株価などの「外部情報」、そして業界概要や最新動向に加え、サプライチェーンなどの「業界情報」、そしてCRM/SFA連携による取引活動履歴なども該当する。湯浅氏は「CS活動の中で、数千万ものニュースサイトやコーポレートサイトなどから、日々情報の収集活動を行い、事業活動に活かしている」と語った。
また、sideSonarには「ライブアクセス機能」が設けられており、インテントデータの利用も可能だ。インテントデータとは、顧客が自社の商品やサービスなどに興味・関心などを持ち、意図(intent)を持って起こした行動のデータであり、自社サイトへの来訪や資料のダウンロード、サイトのどのページに訪れているのか、どの部分を熱心に読んでいるのかなどが該当する。CSは顧客と接点を持つ前に、企業IPから逆引きしてそれらの情報を収集し、対応の参考にしているというわけだ。たとえば、普段使っているサービスとは異なるサービスを閲覧していたら、導入事例を紹介し、希望があれば資料を送るといった対応が有効となる。
一方、ネガティブな情報をキャッチすることにも効力を発揮する。たとえば同社ではFAQページに「解約の仕方について」という項目を設けており、それを閲覧している顧客を察知した場合は、早めにフォローを行って困りごとをヒアリングしたり、次回の契約更新を促したりしていくというわけだ。契約更新のタイミングぎりぎりに解約を言い渡されても、そこからの巻き返しは難しい。まさに“守り”についてもタイミングが重要と言えるだろう。
湯浅氏は、「企業にまつわるさまざまな情報を知り、顧客の動向を把握し、攻守の適切な対応が可能になる。時間がかかる情報収集および活用において、ユーソナーがお手伝いできることは多い」と語った。