新規受注1.5倍 uSonarを効率的な“攻め”のアプローチに活用
そして、湯浅氏はもうひとつ意識すべき観点として「正しい顧客への販売ができているか」をあげた。これをCSが判断していくのは役割的に難しいとはいえ、自社サービスが顧客のニーズにフィットしていないと、継続的なフォローがCSの大きな負担となる。そこで、CSから営業などにそうした情報をフィードバックし、自社の強みが活きる「適切な顧客」への販売を促していくこと、いわば「プロダクトマーケットフィット(PMF)」を実現することで、全体的な効率性、高収益性、さらにはLTV向上につなげていくというわけだ。
実際、ユーソナーの顧客でも企業情報を活用した「攻守のCS」を実現し、戦略的に成果を上げている企業は多い。たとえば、某ICT事業会社では、「バンドル」と呼ばれる付随サービスを多数利用している顧客について分析し、既存顧客の中でも優良顧客以外、前述で言うところの「A顧客」に該当する企業リストを抽出してアプローチすることで、取引額が向上したという。湯浅氏は「正しい顧客への販売を意識し、CSで正しいタイミングで正しい内容のフォローを行うことで、より少ない工数で利用・定着率の向上が可能になる」と語った。
さらに企業情報を活用することで積極的な“攻め”のCSにも大きな効果をもたらす。たとえば、契約後のフォローをし続けていても、1社あたりの利益が思うように増えない、顧客の購買ポテンシャルを活かせていないことがある。湯浅氏は「顧客理解の高度化によって、アップセル・クロスセルを的確に行っていくことが重要」と語る。
たとえば、uSonarでは事業内容や基本的な属性、業種、役員構成などに加え、「ストーリー」という企業特徴に関する情報を提供している。ストーリーは有価証券報告書や求人広告、自社サイト内などから情報を収集し、項目づけがなされている。それによって新規事業開発を実施していることや、マーケティングや営業職、管理職などを募集していくことがわかり、「どのようなコンテキストで事業活動を行っているか」が可視化できるのだ。さらに、インテントデータとして、その企業が自社のサービスサイトに来訪しているかどうかもわかるため、どのサービスに興味があるのかも推測できる。
「uSonarでは、タブで遷移することでこれらの情報を一元的に閲覧することができます。イチから情報収集しようとすると、サイトやプレスリリースを検索したり、Googleアナリティクスで分析したりする必要があり、膨大な手間がかかるのです」(湯浅氏)
実際、インサイドセールス組織でuSonarを活用している企業では、1社の情報収集に30分〜1時間もかかっていたが、15分以内で必要な情報の収集が可能になった。結果的に、架電などの対応効率が上がったという報告もある。
さらに支店や店舗、工場などの複数拠点の情報も一覧化できるため、未取引の事業所を可視化して優先的にアプローチすることも可能だ。それによってコストダウンが図れたり、組織内でのスタンダートとなったりすることで、解約のリスクを低減し、LTVを向上させていく。
たとえば、ある企業ではこうした法人データの複数拠点情報を活用することで、既存顧客の未導入の部門や事業所を可視化してアプローチし、新規受注が1.5倍に拡大したという。また、SalesforceとuSonarを連携させることで、狙うべきターゲットなど企業情報やリスト作成の工数も最大4分の1へと削減している。
「LTVを最大化するためには、顧客理解の高度化によるアップ&クロスセル提案で販売拡大につなげ、さらにヒアリングの機会とすることで関係性を深めることが大切です。また事業所紐づけ情報を活用した各拠点への横展開、資本関係紐づけを活用したグループ企業への横展開などによって、LTVはもちろん自社全体の利益の最大化など“攻め”の活動に結びつけていくことができます」(湯浅氏)
最後に湯浅氏は、「効率的な企業の情報活用によって、利用や定着率向上などの“守り”と販売拡大の“攻め”の両軸におけるCSによる活動効果を高め、LTVの最大化につなげていくことができる」と呼びかけ、「デモや導入事例の要望、詳しく知りたいことなどがあれば、気軽に相談してほしい」と語り、セッションのまとめとした。
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