顧客接点DX2.0=営業マネジメントのDXとワークログの活用
「顧客接点DX2.0」は、MQLから生み出された商談を営業がどう受注に育てていくかという営業マネジメントDXの段階だ。この領域のツールとしてはすでにCRMやSFAが普及しているが、必ずしも十分に効果を上げているとは言えない。その理由として矢崎氏は、「ペルソナ設計の誤り」を指摘する。
「CRMやSFAは管理者向けのツールとして要件が設定されているため、現場の営業担当が直接得られる恩恵が少ない。現場の入力負荷を増大させ、入力が滞り、次第に情報鮮度の低下を招き、データに対する信頼度が低下していくのです。そのような結果に陥らないためにも、営業現場における従業員体験(EX)に注目し、いかに営業生産性を向上させていくかという体験設計をもとに要件を定めていくことが重要です」(矢崎氏)
営業の生産性向上のため行うべき事柄として矢崎氏は、商談における受注までの期間をいかに短縮するか、そしてその受注率をいかに向上させるかという「パイプラインマネジメントの高度化」を挙げる。そのために、「マネジメントに必要なKGI/KPIを設計し、目標数値に対して定めた先行評価指標をしっかりモニタリングして、それをマネージャーが運用できるように設計しておく必要がある」と説く。
ただしその際の課題として、先行指標となるデータをどう集め、更新させていくかという問題が生じる。CRM/SFAの情報入力がうまくいかない中で、EYSCが重要なデータとして利用を勧めるのが、「ワークログ」という行動データのログである。
「CRM/SFAで管理されているのは、商談をした結果が登録された情報に過ぎません。一方ワークログは、結果をもたらす要因分析を可能とする“現場での営業活動のログ”であり、自動的に取得・蓄積することで失敗・成功要因を可視化できます。営業の生産性を向上させるためには、営業担当者のEXの視点で日々のプロセスを再設計していく必要があります。そのためには、実績データのみに基づいたマネジメントではなく、ワークログのような行動データを活用し、パイプライン高度化を進める必要があります」(矢崎氏)